昨日のブログ「自公圧勝の参院選、人材サービスはどう変わる? 」で、7月11日(月)に行われた参院選の結果についての安倍総裁記者会見の内容をお伝えしましたが、改めて自民党から全文が公表されたのでお知らせします。

なお、雇用、労働に直接的に影響する言葉のみ先に抽出します。

一億総活躍社会を切り拓く「鍵」は、構造改革の断行です。働き方改革を進めていきます。長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現。労働制度の改革を進め、「非正規」という言葉を国内から一掃する。社会全体の所得の底上げを図ります。(映像:6’12″~)

第24回参議院通常選挙の結果をうけて 安倍総裁記者会見
平成28年7月11日(月)13:00~
冒頭発言(はじめに)
今回の参議院選挙、私は、「国民の信を問いたい」と申し上げました。そして、自民党、公明党の連立与党で、改選議席の過半数、61議席を目指すという目標を掲げました。暑い真夏の選挙戦となりましたが、多くの皆さんが投票所に足を運んでくださり、連立与党で70議席。過半数を大きく上回る議席を頂きました。
「アベノミクスを一層加速せよ!」と、国民の皆様から、力強い信任を頂いたことに、心から御礼を申し上げます。(経済対策)
勝利の余韻に浸っている暇はありません。直ちに、明日、石原大臣に対して、経済対策の準備に入るよう、指示いたします。今回の参議院選挙から、18歳、19歳の若者たちが、一票を投じた。歴史的な選挙でありました。我が国の「未来」を担うのは、こうした若い人たちです。この若者たちと共に、輝かしい「未来」をつくりあげていく。「未来」は、私たちの手で変えることができるんです。その力強いスタートを切る「経済対策」にしたい。そう考えています。キーワードは、「未来への投資」であります。未来の成長につながる分野、すなわち「未来の成長のタネ」に、大胆に投資します。

主役は、「地方」。目指すは、「世界」であります。地方が誇る、魅力ある農産物や観光資源を、世界にどんどん売り込んでいく。この選挙戦を通して、私は、各地で、そうお約束してきました。まずは、それを実現させていく。そのための「21世紀型のインフラ」を整備していきます。

輸出1兆円目標の早期実現に向けて、農林水産物や食料の輸出基地、輸出対応型施設を、全国につくります。外国人観光客4千万人時代に向かって、クルーズ船を受け入れる港湾施設の整備など、地方の観光施設を抜本的に増強しなければなりません。

各地方の旅館やホテルの改修や建設など、未来の成長を生み出す民間投資も、どんどん喚起してまいります。

現下のゼロ金利環境を最大限に活かし、財政投融資を積極的に活用します。リニア中央新幹線の全線開業を最大8年間前倒しし、整備新幹線の建設も加速します。

東京、そして大阪。日本の二大都市を大きなハブとしながら、全国に広がる「地方創生回廊」をつくりあげ、成長の果実が、全国津々浦々にまで、行き渡るようにしてまいります。

熊本地震の被災地に「未来」をつくる。復興への取組も一層充実していきます。地震、豪雨、豪雪。自然災害に強い、強靭な国づくりを進め、安心を確保するための防災対策も、「未来への投資」であります。

そして、これまでの成長の果実を、子育て支援など、必要な分配政策に大胆に投入することにより、次なる成長を確かなものとする。「成長と分配の好循環」をつくりあげるため、「一億総活躍社会」に向けた「未来への投資」を、加速してまいります。

「待機児童ゼロ」を実現するため保育の受け皿整備を進めます。介護についても50万人分の受け皿を前倒しで整備し、「介護離職ゼロ」を目指します。施設だけでなく、必要な人材を確保するため、保育士や介護福祉士の皆さんへの支援の拡充を進めていきます。

更に、無年金の問題は喫緊の課題です。年金受給資格期間の短縮についても、来年度からスタートできるよう、準備を進めてまいります。

若者への投資を拡大します。「学びたい」という意欲を持つ全ての学生が、無利子の奨学金を受けられるようにいたします。更に、給付型の奨学金についても、具体的な検討を進めていきます。

一億総活躍社会を切り拓く「鍵」は、構造改革の断行です。働き方改革を進めていきます。長時間労働の是正、同一労働同一賃金の実現。労働制度の改革を進め、「非正規」という言葉を国内から一掃する。社会全体の所得の底上げを図ります。

イギリスのEU離脱に関する国民投票、陰りが見える新興国経済。世界経済は、今、様々なリスクに直面しています。

こうしたリスクが、中小企業をはじめ、日本経済にマイナスの影響を及ぼすことがないよう、万全の対策を講じてまいります。しっかりと内需を下支えすることができる、総合的かつ大胆な経済対策を実施したい、と考えております。

(外交再始動)
世界経済の不透明感が増す中にあり、世界経済の成長と市場の安定のためには、国際協調を強めていく必要があります。

先般の伊勢志摩サミットでは、G7が、強い危機感を共有し、世界経済のリスクに立ち向かうため、あらゆる政策を総動員していくことで合意致しました。この「経済成長への決意」を、更に、アジアやヨーロッパの国々とも共有したいと思います。

外交も、今週さっそく、再始動します。ASEMに出席するため、モンゴルを訪問します。

選挙期間中に、バングラデシュにおいてテロが発生しました。改めて、お亡くなりになった方々の御冥福をお祈りし、御家族にお悔やみを申し上げます。

「バングラデシュの人々のために力を尽くしたい」。その崇高な志が、残虐非道なテロリストたちによって、踏みにじられました。卑劣極まりないテロ行為を断固非難し、強い憤りを覚えます。

来たるべきASEMにおいても、アジアとヨーロッパの国々が、一致して、テロの根絶に向けて緊密に連携する。その明確なメッセージを世界に向けて発信したいと考えています。

世界経済と、「テロとの闘い」という、二つの大きなテーマに対して、これまで培ってきた各国首脳との深い信頼関係の上に、日本として、リーダーシップを発揮してまいります。

(おわりに)
「継続こそ力」であります。

今回の選挙において、私たち自民党は、歴史的な勝利となった3年前の参院選よりも、比例の得票を150万票以上増やし、15年ぶりに2千万票を超える得票を頂くことができました。そして、改選前の議席を上回る議席を頂きました。国民の皆様に、改めて感謝申し上げます。

より安定した政治基盤のもと、経済においても、外交においても、一層力強く、政策を前に進めることができる。いや、前に進めなければなりません。

そのことが、国民の皆様から、この参議院選挙で頂いた「負託」に応える道である。そう確信しております。

今後とも、国民の皆様と共に、この道を、力強く、前へ進んで行く決意であります。

私からは、以上であります。