MoneyZine一昨日12月3日に「株/FX・投資と経済がよくわかる」のキャッチフレーズを冠した「MoneyZine」というサイトで「人材派遣業、人材不足で市場拡大が続く中、法改正の影響を受け、小規模事業者の倒産が増加」という記事が掲載されました。

投資対象として人材サービス業を見ているということでしょうか。外から客観的に人材サービス業界を見ているという点で珍しい記事ですが、その内容は極めて冷静に捉えており偏りもないように思います。

ニュースサイトのBLOGOSでも配信されていたためご覧になった方も多いかもしれませんが、書いた人のことが出ていなかったので、どういう人が書いているんだろうと思い、調べてみるとフィナンシャルプランナーと小説家とのこと。どおりで客観的なわけです。

問われる事業者の姿勢

さて、問題はこの記事を読んだ事業者側の皆さんの姿勢ですが、皆さんはどのように受け取られたでしょうか。

概ね「ウチは大丈夫!」、「まずいかも…。」、あるいは「どうしよう。。」というものでしょうか。

その感想はどこから来ていますか?

そこが問題です。根拠のない自信、不必要な不安、無策いずれも経営を誤ります。

淘汰は当然

この記事にあるように淘汰が進む可能性が高いことは、私も以前から言ってきていることです。

大手と専門性のある中小の二極化が進み淘汰される…これは、人材サービス業界に限った話ではなくどんな業界でも同様の経済原則です。

現状はその波が人材サービス業界に押し寄せてきていると捉える必要があるということでしょう。

母数が大きいので50件程度では全体に与える影響はまだ小さいと言えるのでしょうけど、今後まだまだこの傾向は続くのではないでしょうか。

法規制だけでなく、技術革新によっても大きな変動があると考えた方がよいでしょう。

事業者間の差

最近、いろいろな事業者さんとお話をすることが増えましたが、伺っていて感じることが二つあります。

まず一つは、どうしたら複雑な法規制の網の目をかいくぐれるかというのは論外ですが、そうでないにしても目先の売上、あるいは法規制への対応をどうするかということへの興味、関心ばかりが強く足もとの経営についての意識が不足していると思われるもの。

たしかに売上は大切です。利益のないところに次の経営はないのですから、当然ながらこれを追うことは必要ですが、しかし、それだけでは持続的な成長は覚束きません。コンプライアンスへの取り組みも言うまでもありません。

インサイドアウトと言いますが(ゴルフではないですよ)、他者や環境に依存するのではなく、内面に作用し自立することが求められます。

外に目を向けることも必要

もう一つは、独善的と思えること。他社を気にしすぎることもどうかとは思いますが、あまりにも外に目が向いていないのも考え物だと感じます。

特に客観的な立場にいる私から見ると、事業者さんの間にものすごく大きな差ができているように思います。

誰しも自分がやっていることは最高と思うのかもしれませんが、客観的に見ると歴然とした差があります。

成長の度合いに応じて適切な運用にしなければなりませんが、客観的に見て適切な運用になっているでしょうか。

戦略的な経営を

いずれにしても共通して言えることは、より戦略的な取り組みが必要ということです。

この記事にある以上に経営環境は厳しいものになっています。

敢えて言うならば「はりぼて」の経営では将来はありません。経営基盤を盤石にすることが次の成長につながると言えるのではないでしょうか。

経営的には人財育成を図る、サービスの質を高める、組織制度を整えるということが重要です。

冷え込みが厳しくなるようです。皆さん暖かくしてお出かけください。

人材派遣業、人材不足で市場拡大が続く中、 法改正の影響を受け、小規模事業者の倒産が増加

サイトウ イサム[著] / 加藤 秀行[著]

人材派遣業は緩やかな市場拡大が続く中、改正労働者派遣法などの影響もあり、拡大ペースが鈍化。小規模事業者の倒産も増加している。

矢野経済研究所は人材派遣事業者などを対象に、人材ビジネス市場に関する調査を実施し、その結果を11月17日に発表した。調査時期は7月から10月にかけて。

2015年度の人材派遣業(一般労働者派遣業)の市場規模は前年度比5.0%増の4兆1,020億円となり、2年連続のプラス成長となった。

2016年度も市場は拡大し、前年度比2.0%増の4兆1,840億円と予想されている。人材派遣業市場の動向をみると、人材不足を背景とした売り手市場が続き、派遣労働者の時給単価も上昇傾向にあるものの、一部の業種ではスタッフの供給量が需要を上回る状況もあり、伸び率は前年度よりも縮小するとみられている。

関連法の改正も市場に影響を与えている。昨年9月に施行された改正労働者派遣法では、派遣労働者の派遣終了後の雇用を継続させるなど、派遣労働者の雇用安定措置が盛り込まれた。

また、2013年4月施行の改正労働者契約法には、有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた場合、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換できる「無期転換ルール」があり、その適用が2018年に迫っている。

そのため、企業では人材派遣からアウトソーシングサービスへシフトする動きが活発化しており、人材派遣業市場の拡大を妨げる要因となっていると同社は指摘している。

一方で、小規模な労働者派遣事業者の倒産は増えている。

東京商工リサーチが11月9日に発表した、「労働者派遣業の倒産状況(2016年1月~10月)」によると、企業の倒産件数がバブル期並みの低水準で推移する中、労働者派遣事業者の倒産は前年同期を上回り、10月までに前年同期比8%増の54社が倒産した。

負債総額は前年同期比8.2%増の38億200万円だった。

負債の規模をみると負債10億円以上の大型倒産は発生しておらず、1件あたりの平均負債額は前年同期と同水準の7,000万円にとどまり、小規模企業の倒産が目立った。

倒産の理由をみると、販売不振が35件で全体の64.8%を占め、他社倒産の余波が8件(構成比14.8%)、放漫経営が6件(同11.1%)などとなっている。同業他社との競争のほか、規模間での賃金格差が拡大し、小規模事業者ほど派遣労働者の確保が難しくなっている環境があるという。

また、昨年9月に施行された改正労働者派遣法では、資産要件の強化や派遣社員へのキャリアアップ支援(キャリア形成支援制度)が義務化されるなど事業継続のコストがかさみ、経営体力が乏しい中小・零細規模の派遣事業者には経営の重荷になっているとみられる。

市場が成長する中、資本力に乏しい派遣事業者には厳しい環境が続き、淘汰が進む可能性がありそうだ。

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