先週Amazon社から、日本初の物流拠点への「Amazon Robotics」導入と、アメリカのAI活用の新コンセプトストア「Amazon Go」について相次いでリリースが出されました。

すでに映像をご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、これらを見ていると、いよいよ第4次産業革命が現実のものになってきたという気がします。

Amazonというと、その労働環境について問題視されることも多くあるのですが、それは別として、このような取り組みを考察することは次世代の雇用を考えるうえで必要ではないでしょうか。

「Amazon Robotics」で4万人の雇用喪失

まず、「Amazon Robotics」ですが、すでに2年間で世界で1万5,000台を導入し、それだけで500~1,000億円の人件費が削減できる見込みとのことです。

1,000億円と言うと、実に世界で4万人以上の雇用が不要になるということになります。管理コストや運用コストも削減されることになりますね。

今回、日本で初めて導入されるのは、川﨑のフルフィルメントセンターとのことですが、すでに海外での実績があることを考えると、他のセンターへの横展開にはそれほど時間はかからないのではないでしょうか。スピード感で言えば人がロボットに置き換わるのはあと数年ということができるのかもしれません。

現在の国内のAmazonのEC市場でのシェアは15%程度とのこと。それだけでもかなり多くの雇用がなくなることが考えられますが、このようなシステムがEC市場全体に行き渡ったとすると、国内だけでも10万人単位の雇用が失われていくことになります。

これは、すでに起こっている現実なのです。

倉庫の中を縦横無尽 アマゾンの動く棚ロボ

「Amazon Go」でスーパーのレジもなくなる

もう一つ興味深かったのが、AI活用の新コンセプトストア「Amazon Go」です。

何やらゲームのような気がしないわけではありませんが、すでに何度もこの映像をみてしまいました。倉庫の作業と違い日常生活でよく見る風景だけに目を見張るものがありますよね。

電車の自動改札みたいなゲートでスマホをかざしてお店に入り、欲しいものを手にしてそのままお店の外へ。

これって、映像だけをみていると単なる万引きと変わらないですよね(笑)。

間違いなくスーパーやコンビニなどではレジの職種はなくなるということです。

1991年の「大規模小売店舗法」の改正、2000年の「大規模小売店舗立地法」で地域の小売店舗が大規模なスーパーに集約され、地域の小売店舗が圧迫され、それまでの自営業主、個人事業主などの人びとの多くは雇用者に移行しましたが、ついにその居場所すらなくなるということでしょうか。

「そろばん」→「10キー入力」→「バーコードスキャン」→「セルフレジのサポート」と人が働く場は少しずつ減ってきてはいましたが、とうとうAIやセンサーにその仕事も取って代わられるということになります。

レジなし、行列もなし–アマゾンがAI活用の新コンセプトストア「Amazon Go」を開店

新しい仕事を探せ!

しかし、よくよく考えると、いずれのケースもなくなる仕事ばかりではなく、新たに生まれる仕事もあるはずです。

主体的にそれを探すということが人材サービス事業者に求められる経営ではないでしょうか。

トラックの自動運転や荷物の搬入搬出のロボットなどを考えると、Amazonに限らず、物流、倉庫に関する仕事は大幅に雇用が失われるということになりますが、ロボットの面倒をみるための仕事やメンテナンスに関わる仕事、イレギュラーな梱包に関わる仕事などは必要になると思います。

スーパーでは、スマホをかざすゲートのところに案内所のようなものができたり、お客さまが買い物かごの中にある商品を袋につめるときにサポートをする、あるいはスーパーの概念を覆して接客サービスをするという仕事は現れるかもしれません。高齢者や障がいのある方のケアをするということもよいサービスになるように思います。

便利なだけがよいわけではない

買い物をする側も、まったく無人のお店で商品を万引きする?ような真似はしたくないという心理もあるのではないでしょうか。

お店の中に人の気配がするということは案外安心につながっているような気がします。物々しい警備員ではなく、ソフトなお店番として、「お店の中に人がいる」という環境を創りだすことが求められるようになるかもしれません。

「いらっしゃいませ」とか「ありがとうございます」という言葉は無機質なロボットに言われても嬉しくないですよね。絶妙なタイミングで声をかけるというのはロボットにはできません。

すでに人材サービス事業者として多くのノウハウや経験を積んできたはずです。これらのことは、人材サービスのユーザー企業からの要請ではなく、人材サービス側から積極的に提案することでユーザー企業に貢献できるようになる必要があるのではないでしょうか。

もう、未来のことと言っていられない状況です。第3次産業革命と言われる情報通信革命がそうであったように、新たな波はまたたくまに押し寄せるのではないでしょうか。

人材サービス企業にとっても足元の経営力と革新へのチャレンジが求められていると言えるでしょう。どのような経営戦略で臨むかの正念場ですね。

こんなことを考えているとデジャヴのように目の前に現れるものですね。昨日は、初めてAmazonのフルフィルメントセンターのバスを見かけてしまいました。

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雇用が変わる

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