こんにちは。人材サービス総合研究所の水川浩之です。

GWに入りましたね。先週末4月28日(金)9:00~12:00に開催された「第一回労働政策審議会条件分科会・職業安定分科会・雇用均等分科会同一労働同一賃金部会」(以下、「同一労働同一賃金部会」)のプレミアムチケットに当選して傍聴してきました。1日、2日はお休みの方も多いかもしれませんが、少しだけその模様をお知らせします。

長い部会の名称のワケ

そもそもこの部会の名称、前代未聞の長い名称ですが、中身を見ればわかるように、労働条件分科会と雇用均等分科会と職業安定分科会に横串をさすかたちで設置されたものです。

今回の同一労働同一賃金に伴う法改正は、労働契約法とパートタイム労働法と労働者派遣法の3法一括改正とされているため、これらの3つの法整備にかかわる3つの分科会が併記されたということでしょう。

資料は「お探しのページは見つかりません」

ご存知のように労働者派遣法は、従来、職業安定分科会の労働力需給制度部会で扱われており、恐らく労働力需給制度部会のしたに同一労働同一賃金部会というのも非論理的な建てつけになることから、ここでは職業安定分科会とされているのだろうと思います。

ここまでは理解できるのですが、いざこのブログを書こうと思い、同一労働同一賃金部会の資料を探そうと思ったら、「お探しのページは見つかりません」と表示され資料にいきあたりません。

それはそうです。これまでは、労働契約法は労働条件分科会のもとに、パートタイム労働法は雇用均等分科会のもとに、労働者派遣法は職業安定分科会労働力需給制度部会のもとに紐づいていたのですから、ウェブ成り立ちとしてディレクトリを考えると、労働条件分科会、雇用均等分科会、職業安定分科会労働力需給制度部会に3つから1つの同一労働同一賃金部会に紐づけをすることは至難の技なのでしょう。

(※5月1日に新たなディレクトリのもとに資料が公開されました。ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 労働政策審議会(労働条件分科会・職業安定分科会・雇用均等分科会同一労働同一賃金部会) > 第1回労働政策審議会労働条件分科会・職業安定分科会・雇用均等分科会同一労働同一賃金部会 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000163831.html

ガイドライン案前提が鮮明

結局、このブログを書いている今現在も資料にいきつかないので、結構、困っています。

第1回となる今回の議題は、「同一労働同一賃金に関する法整備について」でした。

第1回ですから、生田職業安定局長の挨拶に始まり、まずは部会長の選出と委員の紹介、部会の運営規定の承認と形式的なセレモニーがあったあと、これまでの経緯として以下の資料にもとづいて説明がありました。

  • 働き方改革実行計画
  • 同一労働同一賃金ガイドライン案
  • 同一労働同一賃金の実現に向けた検討会報告書
  • 同一労働同一賃金の実現に向けた検討会中間報告
  • 現行制度に関する参考資料

すでにこれらの資料のほとんどはブログでもお知らせしてきた内容です。今後の同一労働同一賃金の議論を理解するためには非常に重要な資料です。

これらの資料を並べてみると、どうしても首相官邸主導の「働き方改革実現会議」と厚生労働省に設置された「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」のスタンスの違いのようなものが浮かび上がってしまいます。

しかし、いずれにしても今回の同一労働同一賃金は首相官邸主導であることは間違いなく、この同一労働同一賃金部会での議論もガイドライン案が前提ということは鮮明でした。

論点(案)にもとづき議論

論点の全体像として「I 短時間労働者・有期契約労働者関係」と「II 派遣労働者関係」に分かれると案が示され、この日は、「論点(案)短時間労働者・有期契約労働者関係」についてほぼフリーディスカッションのように議論が進みました。

ランダムに意見を挙げると、以下のようなものがあります。

  • 労使交渉を尊重すべき
  • 基本給は比較のしようがない
  • あまり縛りすぎないほうがよい
  • 個々の待遇ごとというのは違和感がある
  • 総合的な判断が必要ではないか
  • 従来からの労使の合意についてはどう考えるのか
  • 規定することで紛争が増えるのではないか
  • 行政(労働局)の独自解釈はむずかしい
  • 労働局がよいと言っても裁判所がよいとは言わない
  • 個別の均衡よりも企業の中の賃金体系をどうするかが問題
  • 労使の賃金体系を再構築する必要がある
  • 「その他の事情」をどう捉えるかが問題
  • 定年後のことをどう考えるのか

労働者派遣の論点

この日は、「II 派遣労働者関係」については議論が及んでいませんが、内容としては以下が示されています。次回以降に「論点(案)派遣労働者関係」が示され、議論される模様です。

1 労働者が司法判断を求める際の根拠となる規定の整備関係

(1)派遣先の労働者との均等・均衡待遇による場合

  • 均等待遇規定及び均衡待遇規定並びにガイドラインの根拠規定の整備
  • 派遣先から派遣元事業主への派遣先労働者の待遇に関する情報の提供
  • 派遣料金への配慮
  • その他派遣先の措置 など

(2)労使協定による一定水準を満たす待遇決定による場合

  • 労使要諦の締結主体
  • 労使協定の要件 など

2 労働者に対する待遇に関する説明の義務化

  • 派遣労働者に対する説明義務
  • 比較対象労働者との待遇差の理由等についての説明義務 など

3 行政による裁判外紛争解決手続の整備等

  • 行政による裁判外紛争解決手続の対象
  • 報告徴収・助言・指導・勧告・公表の対象 など

4 その他

6月にはまとめの予定

4月24日の拙ブログ「同一労働同一賃金に向けた派遣法改正の中身」では、「この議論はそれ程長くはなく、3~4か月程度でまとめられ、9月以降の秋の臨時国会で年内に成立」と書いてしまいましたが、どうやらこの同一労働同賃金部会でのまとめはかなり早いテンポで6月にはまとめられ、臨時国会で議論される模様です。

桜、菜の花、チューリップ、ポピー、つつじと続き、いまはネモフィラが話題になっていますね。昔はネモフィラなんていう花はあまり一般的ではなかったと思いますが、GWは何が見ものでしょうね。皆さん事故などないようにお楽しみください。

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