こんにちは。人材サービス総合研究所の水川浩之です。

毎日暑いですねぇ。5月の降水量の少なさはなんと50年ぶりだとか。夏になる前からこの暑さには先が思いやられますね。

今日はその暑さの中、、「第4回労働政策審議会条件分科会・職業安定分科会・雇用均等分科会同一労働同一賃金部会」(以下、「同一労働同一賃金部会」)に行ってきました。会場は厚生労働省の11階職業安定局第1・第2会議室。

労働安全衛生法は大丈夫?

何度も書きますが、厚生労働省の会議室は暑いです。およそ100平米余りの会議室に100人以上、鮨詰め状態です。

環境省と同居している厚生労働省のある合同庁舎5号館は、気温28度に設定されているようですが、実際には30度をはるかに超えていると思います。

人口密度が過密状態にあるため湿度も高いです。

調べてみると、労働安全衛生法に基づき「事務所衛生基準規則」という厚生労働省令があるようですが、どう考えてもこれに違反しているのではないでしょうか。

ぜひ一度、きちんと基準を満たしているか計測をしてもらいたいものです。

今日も暑い(熱い)議論に

それほど暑かったため、傍聴をしていても朦朧として意識が遠のき、いま一つ記憶も曖昧になっているというのが正直なところです。

前置きが長くなりましたが、今日の議題も「同一労働同一賃金に関する法整備について(派遣労働者関係)」でした。

当初から示されている4つの論点のうち、「3. 行政による裁判外紛争解決手順の整備等」「4. その他」を中心に議論がされました。

この3と4については、比較的早い時間に意見は出尽くし、再度、「1. 労働者が司法判断を求める際の根拠となる規定の整備関係」「2. 労働者に対する待遇に関する説明の義務化」の蒸し返し。

根本的な考え方に触れると熱さが戻るようで、そもそも論として、やはり何をもって不合理な格差というのかについて大元のところがまったく解消されていないため、どうしても議論にブレが出てしまうというのが実際のところということでしょうか。

グレーゾーンでは行政指導の対象としない

「3. 行政による裁判外紛争解決手順の整備等」ですが、均等・均衡待遇にしても、説明義務についても、いずれも個別具体的なものであり、行政による調停、あっせんでは明確な判断ができないという前提条件があるものの、厚生労働省としては、パート、有期雇用と同様に行政ADRを利用できるようにすることを考えているようです。

ちなみにADRとはAlternative(代替的)、Dispute(紛争)、Resolution(解決)の頭文字をとってADR。日本語では代替的紛争解決手続、裁判外紛争解決手続とされます。 

また、行政指導についてはグレーゾーンについては報告徴収・指導及び助言・改善命令・事業停止命令・許可取り消しの対象としないとも言っているのですが、そもそもグレーゾーンがグレーで曖昧なため、これもどうなることやらです。

これが曖昧だと、結局、行政裁量の余地が大きくなり、現場の混乱を招くことは間違いありません。

一般の労働者の賃金水準と同等以上

すでに何度かお知らせしていますが、今回の同一労働同一賃金に伴う3法一括改正では、労働者派遣だけが、派遣先との均等・均衡待遇に加え、以下の3要件を満たせば労使協定による均等・均衡待遇も可能とされています。

<1>同種業務の一般の労働者の賃金水準と同等以上であること。

<2>派遣労働者のキャリア形成を前提に能力を適切に評価して賃金に反映させていくこと。

<3>賃金以外の待遇について派遣元事業者に雇われている正規雇用労働者の待遇と比較して不合理でないこと。

この中で、何をもって「同種業務の一般の労働者の賃金水準と同等以上」とするのかという議論がありますが、これについては今日の会議で改めて「賃金構造基本統計調査」と「職業安定業務統計(求人平均賃金)」を参考とする旨、説明がありました。

実際には、「賃金構造基本統計調査」では、正社員の中にも総合職・一般職も混在しているため比較の対象にならないとか、「職業安定業務統計」では勤続年数などについての考慮がないなどという意見も出されています。

私が思うに、そもそも同一労働同一賃金と言っているのに年功となる勤続年数を参照することに違和感があること、恐らく、派遣元事業者の顧客層によっては、これらの統計調査の値を参照するとむしろ待遇がさがることも考えられるのではないかということも気になりました。

あくまでも参考とのことでしたが、これら以外にも客観的に労働市場の相場を織り込むことも良しとしなければ、実態との乖離が起こるのではないでしょうか。

次回からは建議の中身

これまで第1回から第4回まで、パート・有期雇用で2回、派遣労働で2回議論がされてきましたが、論点として示された4項目については概ね意見は出尽くされたものとして、次回以降は建議の中身の議論に入っていくようです。

このペースでいくとあと2~3回で法改正につながる大枠はまとめられ、国会での審議、法案成立後に改めて運用レベルの議論がされることになりそうです。

あまりの暑さで、いま一つキレのないレポートでスミマセン(^^;

お陰さまで好評発売中です!ご注文は、Amazon からお願いします。

全国の紀伊國屋書店、丸善ジュンク堂、ブックファースト、有隣堂、三省堂書店などでもご購入いただけます。

雇用が変わる

関連記事: