こんにちは。人材サービス総合研究所の水川浩之です。

7月3日付の労働新聞の一面トップ「成果、能力を考慮要素に」はご覧になりましたか?

これまで6回開催された労働政策審議会労働条件分科会・職業安定分科会・雇用均等分科会同一労働同一賃金部会の模様については、私も毎回詳細にお伝えしてきました。

 

労働新聞の記事は、6月16日に正式に建議された「同一労働同一賃金に関する法整備について」、コンパクトによくまとめられている記事だと思います。

同一労働同一賃金の3法一括改正の中身

同一労働同一賃金の法整備については、労働者派遣法、労働契約法、パートタイム労働法の3法一括改正と言われていますが、その中身ポイントとして以下のようなことが指摘されています。

  • 不合理な待遇格差の判断の考慮要素
  1. 職務内容(業務内容・責任の程度)
  2. 職務内容・配置の変更範囲(いわゆる「人材活用のしくみ」)
  3. その他の事情(「職務の成果」「能力」「経験」)
  • 待遇の比較対象は「同一の使用者」
  • 労働者派遣については、「派遣先労働者との均等・均衡」と「労使協定による一定水準を満たす待遇決定」の2つから選択
  • 裁判外紛争解決手続き制度(ADR)の対象拡大

派遣労働には特有の規定も

これまで、派遣労働はほとんどの場合、職務によって賃金が決まってきた経緯があること、派遣先が変わるたびに賃金レベルが変動することはむしろ不安定になることを指摘してきましたが、建議の段階としては「労使協定による一定水準を満たす待遇決定」という選択肢も加えられました。

ただし、労働者派遣の労使協定については、派遣元が過半数労働者で組織する労働組合または過半数代表者と待遇を決定すること、またその過半数代表者の選出ルールや労使協定を行政が把握できるようにすべきとされています。

過半数というと、代表を選出するだけでも大変な運用になると思います。また人の入れ替わりも激しいためいつのタイミングで決定したのかというような取り決めも必要になるのではないでしょうか。

派遣元事業者のみなさんは、運用上、派遣労働者とコミュニケーションを図れるしくみも併せて構築する必要があるように思います。

職務型雇用が安定するための規定を

その他の事情として「職務の成果」「能力」「経験」も考慮要素となるとのことですが、これまでの日本型雇用慣行の経緯から言うとこれらも対象となることは、ある意味やむを得ないとは思います。

その反面、これは職能型雇用を助長するとも言えます。

今後ますます職能型と職務型の二極化が進むことを考えると、職務型の同一労働同一賃金が機能するよう、すでに職務型雇用となっている労働者派遣のしくみをスタンダードなものにしていく必要があるのではないでしょうか。

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