厚生労働省が、本日8月31日に、無期転換ルールの周知や無期転換制度の導入促進を支援する「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」を開設しました。
「有期契約労働者の無期転換」とは、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールのことを言います。
2012年(平成24年)8月10日に公布された改正労働契約法にもとづいて、2013年(平成25年)4月1日に施行された「無期労働契約への転換」(18条)で定められたものですが、最初の「5年後」となる2018年4月1日まであと1年半余りのタイミングです。
当時、筆者も労働政策審議会のこの改正労働契約法の成り行きを追っていたので、関心をもって見てきましたが、すでに3年半が経過としたということですね。月日が経つのは早いものです。
早速、内容を見てみました。「ポータルサイト」という物々しい名称がついていますが、労働契約法から無期転換だけが切り出されているため、実際には極めてシンプルです。
トップページを含め、以下の6ページで構成されていますが、無期転換ルールについては非常にわかりやすい説明がされていると思います。
- 無期転換の概要
- 導入のポイント
- 導入企業事例
- 導入支援支援策
- 有期契約労働者とは
問題は、企業にとっての「契約自由の原則」がどの程度認められるかということになるのだと思います。
実際に正社員を希望している人はいわゆる非正規全体の20%弱と言われています。必ずしも正社員でなくてもよい、無期雇用であることが重要という考え方で成立した経緯がありますが、企業がどの程度これに応じるのでしょう。
当時、「4年11か月」という言葉も囁かれており、5年経つまえに雇い止めが横行するのではないかという心配もされていました。実際にそこまであからさまに雇い止めをすることはないとは思いますが、それが2か月前、3か月前、あるいは半年、1年前ならよいのかというと、これは計りようがないのです。
人材派遣については、派遣元事業者での無期雇用化への対応が求められることになりますが、現在、派遣就労している人の43.2%は正社員を希望していることから、十分な検討が必要になると思われます。
労働者派遣法の雇用安定措置の3年後も2018年10月に到達するため、派遣元事業者の経営のかじ取りは非常に難しい局面を迎えることは間違いありません。本当の意味での経営力が試されることになるでしょう。
投稿者プロフィール
最新の投稿
- 経営戦略2018.06.29あほらしい…働き方改革国会
- 経営戦略2018.01.10方法論ではない「人材採用」
- 経営戦略2018.01.09人材サービス業界、2018年はこんな年
- 経営戦略2017.12.07先が思いやられる、この国の労働政策