今朝は、非常に志の高い人材サービス事業者さんとお話ができて、まだまだ業界でやれることは多いと改めて思いました。これから議論される働き方改革の一翼を担うのはまさに人材サービス業界ですね。

さて、本日9月27日、国会での各党の代表質問が終わった16時以降に安倍首相を議長とする「働き方改革実現会議」の初会合が開催されました。

働き方改革実現会議1

昨日の段階で、安倍首相は国会での所信表明演説で、一億総活躍の鍵として「働き方改革」を挙げ以下のように述べています。

働く人の立場に立った改革。意欲ある皆さんに多様なチャンスを生み出す、労働制度の大胆な改革を進めます。

子育て、介護など多様なライフスタイルと仕事とを両立させるためには、長時間労働の慣行を断ち切ることが必要です。

同一労働同一賃金を実現します。不合理な待遇差を是正するため、新たなガイドラインを年内を目途に策定します。必要な法改正に向けて、躊躇することなく準備を進めます。「非正規」という言葉を、皆さん、この国から一掃しようではありませんか。

定年引上げに積極的な企業を支援します。意欲ある高齢者の皆さんに多様な就労機会を提供していきます。

各般にわたる労働制度の改革プラン、「働き方改革実行計画」を、今年度内にまとめます。可能なものから速やかに実行し、一億総活躍の「未来」を切り拓いてまいります。

若者こそ、我が国の「未来」。若者への投資を拡大します。本年採用する進学予定者から、その成績にかかわらず、必要とする全ての学生が、無利子の奨学金を受けられるようにします。給付型の奨学金も、来年度予算編成の中で実現いたします。

本日の「働き方改革実現会議」でも同様のことが示されており、従来からテーマとなっていた「同一労働同一賃金」や「長時間労働の是正」などについて議論が進められることになります。

安倍首相は以下のように発言しています(全文)。

いよいよ、働き方改革実現会議がスタートしました。

先週、ニューヨークにおきまして金融界、そしてまたビジネス関係者の皆様の前で講演をして、また対話をする機会があったわけでありますが、日本が『働き方改革』を進めていくということに対して、大変な関心が集まると同時に、果たしてできるのか、『働き方改革』は、まさに日本の企業文化そのものであり、日本人のライフスタイル、日本の働くということに対する考え方に根付いたものと言ってもいいのだろうと思います。

様々なことが、例えば長時間労働についても、長時間労働の上に成り立って、様々な商慣行があり、労働慣行もできているものを果たして変えていくことができるのかという雰囲気を感じ取ったわけでありますが、私はその際、『腕まくりをして、この課題に取り組んでいく』と申し上げたわけでございまして、『働き方改革』は、第三の矢、構造改革の柱となる改革であります。

大切なことは、スピードと実行であります。もはや、先送りは許されないわけでありまして、多くの人が『働き方改革』を進めていくということは、人々のワーク・ライフ・バランスにとっても、あるいは生産性にとってもいいと思いながらできなかったわけでありますが、いまこそ我々は必ずやり遂げるという強い意志を持って取り組んでいかなければならない、こう決意をしております。

働き方改革に必要な法律、政策が何か、そして今年度内に具体的な実行計画を取りまとめた上で、スピード感をもって国会に関連法案を提出をする考えであります。

『働き方改革』のポイントは、働く方に、より良い将来の展望を持っていただくことであります。同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望が持てるようにしなければなりません。

中間層が厚みを増し、より多く消費をし、より多くの方が家族を持てるようにしなければなりません。そうなれば、日本の出生率は改善していくわけであります。

長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性、高齢者も、仕事に就きやすくなります。経営者は、どのように働いてもらうかに関心を高め、労働生産性が向上していきます。

働き方改革こそが、労働生産性を改善するための最良の手段であると思います。働き方改革は、社会問題であるだけでなく、経済問題であります。我々は労働参加率を上昇させなければなりません。そして賃金を上昇させなければなりません。

働き方改革のテーマは、同一労働同一賃金と36(サブロク)協定の在り方だけではありません。

高い問題意識で取り組む必要があります。ロボットからビッグデータ、AIまで、デジタル技術の活用が進む中で、働き方も間違いなく変わってきます。本日の有識者の皆様の御意見も踏まえて、本会議では、当面、次のようなテーマを取り上げていきたいと考えます。

1番目に、同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善。

2番目に、賃金引き上げと労働生産性の向上。

3番目に、時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正。

4番目に、雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題。

5番目に、テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方。

6番目に、働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備。

7番目に、高齢者の就業促進。

8番目に、病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立。

9番目に、外国人材の受入れの問題。

有識者の議員の皆様には、豊富な経験とアイデアに基づいた、積極的な御提言をいただけることを期待をしております。どうぞ皆様、よろしくお願いを申し上げます。」

また、「働き方改革実現会議」の模様ついては、NHK News Web(9月27日 19時34分)で詳しく報じられています。

首相 働き方改革実現に向け具体策検討を指示

働き方改革実現会議2安倍総理大臣は、働き方改革の実現に向けた有識者会議の初会合で、同一労働同一賃金を含めた非正規雇用の処遇改善や、長時間労働を是正するための具体策の検討を進めるよう指示しました。会議では今後、改革に必要な法整備なども含めて議論を進め、実行スケジュールなどを盛り込んだ計画を年度内に策定することにしています。

総理大臣官邸で開かれた「働き方改革実現会議」の初会合には、議長を務める安倍総理大臣や、加藤働き方改革担当大臣などの関係閣僚のほか、経団連の榊原会長、日本商工会議所の三村会頭、連合の神津会長、それに俳優の生稲晃子さんなど、15人の民間議員が出席しました。

この中で安倍総理大臣は、「働き方改革は、第3の矢、構造改革の柱となる改革だ。大切なのはスピードと実行だ。もはや先送りは許されず、必ずやり遂げるという強い意志を持って取り組む。働き方改革に必要な法律や政策が何か。今年度内に具体的な実行計画をとりまとめたうえでスピード感を持って国会に関連法案を提出する」と述べました。

そのうえで、安倍総理大臣は、同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善、賃上げと労働生産性の向上、長時間労働の是正、転職や再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題、テレワークや副業・兼業といった柔軟な働き方、高齢者の就業促進、外国人材の受け入れなどの課題を例示し、これらを克服するための具体策の検討を進めるよう指示しました。

有識者会議では、改革に必要な法整備なども含めて議論を進め、具体的な実行スケジュールなどを盛り込んだ「働き方改革実行計画」を年度内に策定することにしています。

経団連会長「長時間労働の風土変えるチャンス」

経団連の榊原会長は記者団に対し、「安倍総理大臣は、一億総活躍社会の実現に向けて、働き方改革は最大のチャレンジだとして強い改革への決意を述べた。これに対し、経済界からも『各社の経営トップみずから働き方改革を進めようと、これまでになく機運が高まっている。法改正も含めて制度化し、長時間労働の職場風土を変える重要なチャンスであり、最大限協力して実現させたい』と申し上げた」と述べました。

日商会頭「バランスが大事」

日本商工会議所の三村会頭は記者団に対して、「大胆な改革としっかりと現実を踏まえた改革の2つのバランスをとることが非常に大事だ。長時間労働は、その原因をつぶすことを考えないと絵に描いた餅になるので、よく実態を調べて提案していきたい」と述べました。

一方で、残業の規制については、「長時間労働を抑制するためにどういう仕組みが必要かという議論には喜んで参加するが、一律に機械的に残業の上限を決めることには賛成できない」と述べました。

連合会長「長時間労働の是正 合意得たい」

連合の神津会長は記者団に対し、「長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現だけでなく、賃金をどう引き上げて、格差を無くし、底上げを図っていくかは極めて大きなテーマであり、コンセンサスに結びつけていきたい。限られた時間帯の中で全部実現することは至難の技だが、散漫にならないよう、何が本当に必要なのかを見極めていきたい」と述べました。

生稲晃子さん「大病後も働ける社会を」

俳優の生稲晃子さんは記者団に対し、「自分が経験した乳がんや5年間闘病しながら仕事をしてきた経験を話すことで、何か役に立てるのではないかと思い参加した。キャリアを失うことを恐れて、黙って仕事と治療を続けている人たちがいる。がんに限らず、大病を患った方たちが幸せに仕事ができる社会をぜひ安倍総理大臣の下で実現していきたい」と述べました。

「働く人の実態把握したうえで議論を」

「全国過労死を考える家族の会」の代表の寺西笑子さんは、働き方改革実現会議について、「今回、長時間労働の抑制に向けて国が議論を始めることには期待している」と話します。

寺西さんは、平成8年、当時49歳だった夫の彰さんを過労による自殺で亡くしました。寺西さんは「若い世代から中高年まで多くの人が厳しい労働環境のなか過労で苦しんでいるのが現状だ。安心で安全な働き方が担保されてはじめて多様な働き方ができると思うので、まずは働く人の実態を把握したうえできちんと議論してほしい」と話していました。

厚労省 すでに議論始める

厚生労働省は、働き方改革実現会議で議論される長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現などに向けて、すでに検討を始めています。

このうち長時間労働の是正については、労使の合意があれば上限なく時間外労働が認められる、いわゆる「36協定」の在り方を見直すための検討会が設けられ、今月から議論が始まっています。今後の議論では、認められる時間外労働に上限を設けるかどうかや運輸業など規制の難しい仕事に対する「適用除外」をどこまで認めるかなどが焦点となる見通しです。

また、同一労働同一賃金をめぐっては、非正規労働者の待遇を改善するため正社員との間で賃金などに差をつける場合の基準を示すガイドラインの作成に向けて検討会で議論が行われています。

いずれの検討会でも議論が具体的にまとまれば働き方改革実現会議に報告することになっています。

一方、経団連は昨日9月26日付で「働き方改革」について以下のようにコメントを発表しています。

記者会見における榊原会長発言要旨

日本経済団体連合会

【働き方改革】

経済界としても、安倍内閣と同様に「働き方改革」を最大のチャレンジの一つとして認識している。とりわけ長時間労働の是正を重要課題として捉えている。

経団連では、今年を働き方・休み方改革に向けた集中取組年に位置づけ、経済4団体(経団連、日本商工会議所、経済同友会、全国中小企業団体中央会)をはじめ62団体が、「経営トップによる働き方改革宣言」を採択した。企業によるこうした取り組みは初めてであり、経営トップ自らが意識を改革することで、長時間を前提とする働き方など日本の職場環境や企業風土を変えていきたい。政府と一体となって取り組んでいく。
同一労働同一賃金の実現について、経団連は7月に提言を取りまとめた。この中で、日本特有の雇用慣行に十分留意しつつ、不合理な待遇差を是正することが重要であると主張している。

例えば、欧州では、原則として単純に同じ労働であれば同じ賃金となるが、日本の場合、ある一時点で同じ労働であったとしても、賃金は将来的な役割や仕事への貢献に対する期待などを反映しており、これをどう評価するかが問題となる。これが均衡待遇と呼ばれる日本独特の雇用慣行である。

こうした雇用慣行はわが国産業の競争力の源泉であり、尊重しなくてはならない。正社員の待遇を下げるのではなく、正規化や賃金、手当等により非正規社員の処遇を改善することで、不合理な賃金格差の是正に取り組んでいく必要がある。
現行の36協定では、無制限に残業できる枠組みとなっており、上限規制を含めて見直しを行う方向性は間違っていない。ただし、見直しに当たっては、労働者の保護と業務の継続性という二つの観点から検討する必要がある。

業務が滞るようなことになってはいけない。また、業種による差が存在し、例えば運転手や医療従事者には長時間労働が多い。加えて、予算策定の時期や新製品開発の山場など仕事には繁忙期・閑散期の波がある。

こうした実態を踏まえた形で、上限のあり方について議論を行なう必要がある。これを無視して、一律的な決め方をしてしまうと、経済の実態に大きな影響が出る。

働き方改革実現会議3なお、「働き方改革実現会議」のメンバーは以下のとおり、かなり物々しい顔ぶれです。

  • 安倍晋三首相(議長)
  • 加藤勝信働き方改革担当相(議長代理)
  • 塩崎恭久厚生労働相(議長代理)
  • 麻生太郎副総理兼財務相
  • 菅義偉官房長官
  • 石原伸晃経済再生担当相
  • 世耕弘成経済産業相
  • 松野博一文部科学相

 

  • 榊原定征(経団連会長)
  • 大村功作(全国中小企業団体中央会会長)
  • 三村明夫(日本商工会議所会頭)
  • 神津里季生(連合会長)
  • 岡崎瑞穂(オーザック専務)
  • 金丸恭文(フェ―チャー社長)
  • 新屋和代(りそなホールディングス執行役)
  • 田中弘樹(イトーヨーカ堂)
  • 樋口美雄(慶應義塾大学教授)
  • 水町勇一郎(東京大学社会科学研究所教授)
  • 岩村正彦(東京大学大学院教授)
  • 白河桃子(ジャーナリスト)
  • 高橋進(日本総合研究所理事長)
  • 武田洋子(三菱総合研究所)
  • 生稲晃子(俳優)

なんだかまとめサイトのようになってしまい申し訳ありません。我が国の進む方向をきめるスタートラインになるものなので自分のメモとしてまとめてみました。

9月も終わりに近づいているのに暑さがぶりかえしていますね。なんだか蒸し蒸ししています。体調にはくれぐれもお気を付けください。