こんにちは。人材サービス総合研究所の水川浩之です。大変ご無沙汰しています。かれこれ半年ぶりの更新になりますが、その間、多くの方に病気になったのか、もう雇用政策には興味がなくなったのかとご心配をおかけしました。
お陰さまでブログを更新しなくてもフェースブックの「いいね!」はコンスタントに増え、毎日のように新規に閲覧してくださる方もいらっしゃるという不思議な状況でしたが、国会開催前から散々、働き方改革について採り上げていたからでしょうか。
■ これが働き方改革国会?
さて、今日、6月29日、いよいよ働き方改革関連法案が参議院で可決。これで70年ぶりの労働基準法の大改正と言われる労働法制の改革に一定の結論がでました。
しかし、1月22日に今国会が始まって以来、ほとんどは「モリカケ国会」で、まともな議論はほとんどなし。どこが「働き方改革国会」なのかというほど、興ざめな進展。
あまりに酷くてブログを書く気にもなれない状態でした。
厚生労働省による裁量労働制のデータの誤りという情けない話もありましたが、モリカケに伴い野党が18日間もストライキ。まともに議論をしないで反対だけするという呆れた状況をつくっておきながら「審議時間がたりない」と会期延長7月22日まで。
昨年からの予想どおり高度プロフェッショナル制度が焦点とはなったものの、結局はまともな議論がないまま可決。
本当にアホらしい。税金の無駄遣いもいいところだ。
■ 重要なことは適切な指導
いまさら、働き方改革関連法案の中身を細かく言う必要はないと思いますが、罰則付きの長時間労働の是正、これは法律としては遅いぐらいでしょう。
昔から36協定などあってないようなもので、仮に違反していても注意で終わりというだけだったのですから、罰則が付いたということは確かに意味があるのだと思います。
ただし、これが道路交通法と同じでは何の意味もありません。
きちんと管理監督、指導をするしくみがなくては機能しないことは言うまでもありません。
これまで労働法制はあってないようなものとされてきたのが問題でした。
当然、違反した事業者は罪を負う。これを徹底して欲しいと思います。
■ 悪質な違法は厳罰に
筆者が知る企業の中にはこのようなものがあります。
とにかく理念経営を標榜している。理念経営自体は筆者も大いに肯定していますが、経営理念を実現するためにある種の「空気」をつくっている企業です。
崇高な理念ですから、そのために努力することは当たり前、とにかく滅私奉公しなければならないという微妙な「空気」。言い換えれば無言の圧力と言ってもよいでしょう。
見た目上、美しく見えるのですが、中身は妙な新興宗教と変わらない。
恐らく、行政から見て最も指導しづらいケースだと思いますが、この手の企業は最も悪質ではないでしょうか。
■ 同一労働同一賃金は説明責任
成立した法案の中にはすでに「同一労働同一賃金」の言葉はなく、「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」として可決しています。
もともと同一労働同一賃金は一足飛びには無理なので、かなりトーンダウンしたカタチで通過したことになります。
結局のところ職能型雇用を前提とした法律となったわけで、欧米で言われるような職務型の公正な待遇の確保とはほど遠い内容です。
かろうじて労働者派遣については、派遣先均衡、派遣元均衡の選択制となっていますが、いずれにしても事業者にとって重要なことは、待遇の差について説明責任ができたということです。
これについては、筆者がブログをさぼっているうちに判決が出た、ハマキョウレックス事件と長澤運輸事件。
いずれも運送会社における不合理な待遇差の判断が出たので、今後はこれに沿って運用することが必要になるでしょう。
…というわけで、久々にブログを書いてみました。関東地方は早々と梅雨が明けました。これからの猛暑も懸念されます。皆さん夏バテなどしませんように。
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