厚生労働省本年1月28日から12回にわたって厚生労働省で開催された「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会の報告書が公表されました。

2035年ですから今後20年ほど先のことを想定する懇談会ということになります。ただし、20年後にいきなり現状が変わるのではなく、これから20年の間にさまざまな変遷があったうえで行きつく先と捉えると、方向性を考えるうえで参考になるものとなっています。

この懇談会は、私も何回か傍聴をしましたが、一般の研究会、審議会などと比較するとメンバー構成も多岐にわたり、比較的自由な議論がされることもあり、和やかな雰囲気で議論がされていたように思います。

未来ということを意識したのだろうと思いますが、研究会や審議会では見られない光景として、スクリーンを使ったプレゼンテーション、テレビ会議システムの利用なども導入されていました。民間企業ではすでに10年ほど前からこのような光景は当たり前だったはずですが、厚生労働省としてはかなり先進的?な取り組みだったようです。

中身を見ると、特にAIを中心とした技術革新による産業構造や就業構造の変化が挙げられ、働き方の選択肢が多様になることが指摘されていますが、AIの得意な仕事、人が得意な仕事といった切り口で捉えられています。

全体の構成としては、働き方、制度のあり方、生涯教育のあり方を見通したうえでの提言で締めくくられています。20年後のことのためやや漠然とした感覚が残ることは否めませんが、むしろそれは仕方がないことと言えるでしょう。

AIによる技術革新で、今までITとは無縁だった産業にも革新と発展を生み出すということが指摘されていますが、これは人材サービス産業も例外ではないということではないでしょうか。