厚生労働省8月31日(水)に「第39回労働政策審議会」(会長:樋口美雄慶應義塾大学商学部教授)が開催され、2017年度(平成29年度)の労働政策の重点事項(案)について公開されています。労働政策の全体像を把握するためには、この労働政策審議会の本会は非常に重要な位置づけになります。

ここで開示された重点事項に沿って来年度の労働政策が進められることになりますが、大項目として以下が示されています。

  • 「一億総活躍社会」を支える多様な働き手の参画
  • 「一億総活躍社会」の実現に向けた働き方改革の推進
  • 「GDP600 兆円経済の実現」に向けた労働生産性の向上
  • 地方創生の推進
  • 労働者が安全で健康に働くことができる職場づくり
  • 重層的なセーフティネットの構築
  • 東日本大震災からの復興等のための雇用・労働対策

この中で、特に人材サービスに直接的に影響しそうな施策は以下のとおりです。

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3 「GDP600 兆円経済の実現」に向けた労働生産性の向上

(1)全産業の労働生産性の向上

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②適職を得るための労働市場の整備

・ハローワーク等におけるマッチング機能の強化

- 外部労働市場全体のマッチング機能の最大化を図るため、ハローワークの求人情報・求職 情報をオンラインで民間職業紹介事業者や地方自治体等に提供する。

・人材の最適配置を実現するための労働市場インフラの戦略的展開

- 技能検定制度が産業界の人材ニーズに適合したものとなるよう、職種・作業の新設・統廃 合や等級・試験基準等の見直しを推進するとともに、学生・生徒等の若年層を主な対象とした技能検定3級について、積極的な設定を進める。

- 社内検定制度の構築に取り組む企業の開拓から検定構築のサポートまでの一貫した支援等により、社内検定の拡充・普及促進に取り組む。

- 「ニッポン一億総活躍プラン」等に基づき、ものづくり分野など地域における人材の育成を支援するため、若者の技能検定の受検料減免措置等により、若者が技能検定を受検しやす い環境の整備に取り組む。【再掲】

・雇用仲介事業等の在り方の見直し

- 雇用仲介事業等の今後の在り方について、学識経験者等からなる「雇用仲介事業等の在り 方に関する検討会」における検討結果及び労働政策審議会における議論を踏まえ、必要な措置を講じる。

労働者派遣制度の見直し

平成 24 年及び平成 27 年改正労働者派遣法や附帯決議等に基づき労働者派遣事業の在り方等について検討する。

・企業の職場情報開示に向けた取組の推進

- 職場情報の「見える化」を一層進めるため、若者雇用促進総合サイトや女性活躍推進企業 データベース等について一覧化等をした、より利便性の高い情報開示の仕組みを構築する。

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言うまでもなく、この中で一番影響が大きいものは「労働者派遣制度の見直し」です。

平成24年の改正法では、以下のように問題の大きなものがそのまま継続しており、見直しまたは廃止が求められます。

  • 日雇派遣の原則禁止
  • マージン率などの情報提供派遣料金の明示
  • グループ企業派遣の8割規制
  • 離職後1年以内の人を元の勤務先に派遣することの禁止
  • 労働契約申込みみなし制度

また、平成27年の附帯決議もキャリア形成支援や雇用安定措置など当時の労働政策審議会ではほとんど議論されることのなかったものが国会で感情的に決議された経緯もあることから、改めて附帯決議の内容についても精査をする必要があるのではないでしょうか。

「労働者派遣事業の在り方等について検討する」となっているので、まずは「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」の開催からになりそうですね。

この他、第39回労働政策審議会では、地方での雇用創出、安全衛生、セーフティネット、東日本大震災などビジネス上、助成金が関係するようなことも挙げられているので経営戦略上も、目を通しておくことが必要です。

第39回労働政策審議会2017年度の重点事項(全文)

第39回労働政策審議会資料