日本時間の9月22日、ヨーロッパ現地時間の9月21日に「Ciett」(国際人材派遣事業団体連合)が「World Employment Confederation」(以下、「WEC」 / 訳:世界雇用連合)へ名称を変更することを発表しました。
これにより、WECは、1997年6月19日のILO(国際労働機関)第85回総会で採択された「民間職業仲介事業所条約」(第181号)に基づき民間の職業仲介事業所として定義された以下をすべて網羅した団体に生まれ変わることになるものとみられます。
- 職業紹介事業
- 労働者派遣事業
- その他、求人情報提供などの求職関連事業
「民間職業仲介事業所条約」では、労働者の保護とともに、民間職業仲介事業所の運営を認めるにあたっての枠組みについても規定しています。
また、労働市場政策の策定や実施のための公的資金の利用や管理の最終的な権限は公の機関にあるとしたうえで、公共と民間の職業仲介事業所の協力促進のための条件の策定を求めているものです。
我が国でも昨年3月より厚生労働省で「雇用仲介事業等の在り方に関する検討会」が開催され、健全な就労マッチングサービスの発展の観点から、下記の事項を含め、職業紹介、求人広告、委託募集、労働者派遣等の有料職業紹介事業等に関する制度 の整理・統一を含めた必要な見直しについて検討がされました。。
- 多様な求職・求人ニーズに対し業態の垣根を越えて迅速かつ柔軟にサービスを提供することを可能とする制度の在り方
- IT化等による新しい事業モデル・サービスに対応した制度の在り方
- その他有料職業紹介事業等をより適正かつ効率的に運営するための制度の在り方
すでに本年6月にその報告書がまとめられていますが、今後、我が国の人材サービス産業への規制のあり方もこれまで以上に国際的な動きと連動する方向に向かっていくことになると考えられます。
2014年1月30日に会長のAnnemarie Muntz氏とお話をさせていただきました。非常に気さくで真摯に人材サービスについて話されていたことを思い出します。
以下、WECの名称変更についてのプレスリリースをざっくり翻訳してみました。意訳ですから、疑わしい場合は原文にさかのぼってご参照ください。ご参考まで。
さようならCiett、ようこそWorld Employment Confederation!
9月21日に人材サービス産業を代表する業界団体が、「World Employment Confederation」として名称を変更します。産業の広がりと会員基盤の増大を反映するものです。
グローバルレベルで人材サービス産業を代表するWECは、世界50か国と7つの代表的なグローバルな事業者により構成されます。名称の変更に伴い、国際的な政策立案者であるILO、OECD、世界銀行、国際通貨基金(IMF)、IOM(国際移住機関)、EU、また、労働組合、学界、シンクタンク、NGOなどの利害関係者との接点と関係の強化を図ります。
Ciettは、産業の拡大と急激に変化する雇用環境においてリーダーシップを発揮するために名称を変更することを決定しました。Ciettは1967年に人材派遣業界を代表するために設立されましたが、今回名称を変更したWECはグローバルレベルで人材サービス産業を代表する存在となります。
マネージングディレクターのデニス・パネルは、「私たちは労働市場においてより良い機能を果たすために、雇用に起こっている変化や人材サービス産業が果たしている役割を捉えた新たな名称とブランドを持つ必要性を感じた」と述べています。
WECは、社会において仕事、適合、安全および繁栄を実現するために雇用業界が経済的・社会的役割について果たしていることへの認識を得るために力を尽くしています。メンバーは、世界で7千万人以上の人びとに労働市場と有意義な仕事へのアクセスを提供するとともに年間約500万の企業や官公庁などの組織にサービスを提供しています。
Bye bye Ciett, welcome to the World Employment Confederation!
As of September 21st, the trade organisation representing the employment industry has been rebranded as The World Employment Confederation. A move that reflects the industry’s extended territory (the world of employment) and the broadening of its membership base.
As of September 21st, the trade organisation representing the employment industry at global level has been rebranded as The World Employment Confederation, representing labour market enablers across 50 countries and 7 of the largest international companies. It brings unique access to and engagement with international policymakers (ILO, OECD, World Bank, IMF, IOM, EU) and other stakeholders (trade unions, academic world, think tanks, NGOs).
Ciett decided to rebrand to reflect the industry’s extended territory (the world of employment) and its leadership in an environment that is rapidly changing. While Ciett was established in 1967 to represent temporary agency work, the World Employment Confederation is the trade body representing the employment industry at global level. “We felt the need to have a new name and brand which better capture the changes taking place in the world of work and the enhanced role played by the employment industry in achieving better functioning labour markets” said Denis Pennel, Managing Director.
The World Employment Confederation strives for recognition for the economic and social role played by the employment industry in enabling work, adaptation, security and prosperity in society. Its members provide access to the labour market and meaningful work to more than 70 million people around the world and serve around 5 million organisations on a yearly basis.
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