一昨日、8月18日の拙ブログで「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」の報告書について採り上げたばかりですが、早くも連合と赤旗からこの報告書に対する物言いがついているようです。
拙ブログ:「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会報告書
民進党の支持母体の連合と共産党の赤旗からの指摘ということになりますが、いずれも「労働者は弱者」という視点を強調しています。たしかに立場上「労働者は弱者」と言えるのだと思いますが、現在も顕在化している人材不足はやがて少子高齢化で人材争奪戦になり激しい売り手市場になると必ずしも弱者とばかりは言い切れない状況も想定されます。
連合:厚生労働省「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会報告書に対する談話
赤旗:「働き方の自律化」掲げる厚労省懇報告 労働法制後退の危険
働き方が変わる要因は、技術革新によるところが最も大きいと思いますが、それ以外にも政治、経済、社会の動きを忘れることができません。世の中が変わるなか、雇用の問題だけが旧態依然としていることはむしろ雇用に歪みを生みます。
連合、赤旗のいずれも、「働き方の自律化・多様化・流動化を強調している側面があるが、…略… 働く者が生身の人間である以上、企業との交渉力が対等となることはあり得ず」、「働き方の自律化などがいかに進んでも、働くものと企業との力関係が対等になることはありえないこと」と指摘していますが、「だから変革を許さない」ではなく、「どうしたらその変革に対応できるか」という観点で論じて欲しいものです。
個人としての労働者が企業との交渉力に欠ける…これは確かでしょう。そうであれば、労働者と企業の間に立つ第三者が果たすべき役割が大きくなるということです。
労働組合の組織率は年々下がり現在は17%。労働組合だけでは労働者を守れません。仕事のあり方が変わっている中では現在の日本固有の企業別組合のままでは機能しません。本来、労働組合は重要な役割を担っているはずです。政治、経済、社会、技術が大きく変わる中で、労働組合のあり方も自ら変わることが必要ではないでしょうか。
もう一つの第三者はハローワークです。入手した求人案件を求職者に閲覧させ、興味のある案件の取り次ぎをするだけであれば、すでにその存在意義は大幅に薄れています。第四次産業革命で雇用が失われることが指摘されていますが、ハローワークの役割は第三次産業革命といわれる情報通信革命の段階ですでに失われたものとなっています。ハローワークのあり方も検討すべきでしょう。
そして、民間の人材サービス業も第三者の立場にあります。「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」の報告書に示されているような働き方が広まれば広まるほど、人材サービス業の役割が重要になります。これまで以上に労働者の視点に立ち、エージェントとしての機能を発揮し、企業が求める人材へのマッチングをすることが大きな役割となっていくのではないでしょうか。
「どうしたら弱者である労働者を守りながら、来る働き方の改革に向かうか」が、大きなテーマです。
日経ビジネス:「働き方改革」に立ちはだかる伝統的な“前提” すべての「労働者」は「弱者」なのか?
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