約束をまもる、嘘をつかない、思いやる、感謝する。これらは、子どものころから言われてきたことで、人が人として生きる以上とても大切なことです。そして、誰もがこれらによって第三者との「信頼」を培うことができるということを知っています。しかし、このような価値観や道徳観が守られることなく、相手の「信頼」を失うようなことが往々にしてあります。なぜでしょう。

多くの場合、「人」の思い上がり、過信、慢心、傲慢がこのような事態を招いていると思われます。少しぐらいならいいだろう、前回は大丈夫だった、このぐらいなら分からない、というような心の隙。誰にでも多かれ少なかれ、あるのかも知れません。しかし、そのような心の隙が、社会から非難されるような思いも寄らない大事に発生していくことさえあるのです。

誰もがこのような心の隙が大事を招くことは知っているはずです。しかし、重要なことはつねに、誠実、尊重、高潔、情熱といった道徳観や価値観を省みるとともにこれらを「実践する」ことです。「知っている」ことではなく、「実践する」ことが必要ではないでしょうか。

ソクラテスは、「自分の言葉や行動をほめてくれる忠実な人ではなく、自分の間違いを親切にとがめてくれる人のことを考えるべきだ」と言っています。経営者は、自らを律し、誰が重要で誰が有益ではないかを見極めることが必要です。また、自らの行動を省みるような企業風土づくりをすることが求められています。