今日は10月とは思えないほどの蒸し暑さでしたね。これだけ天候が不安定だと体調管理も難しいと思います。くれぐれもお気をつけください。

目的はもちろん

CEATECさて、今日は久しぶりのショー見学をしてきました。幕張メッセで始まった国内最大のIT&エレクトロニクスショー「CEATEC」の初日でした。

「なぜ、そんなところに?」という声も聞こえてきそうですが、もともと家電業界、通信事業者出身の私からすると昔のエレクトロニクスショーから発展したCEATECはむしろ古巣です。

人材サービスとはおよそ関係のないように見えるCEATECですが、私の見学の目的はズバリ「雇用創出」。

「つながる社会、共創する未来 CPS/IoT EXHIBITION」というテーマが掲げられているにもかかわらず、実際にはテーマがハッキリしないというのが正直なところ。それでも見学する側の私としてはテーマがハッキリしているので終始ブレずに「雇用創出」(笑)。

なんちゃって有識者

IoT推進コンソーシアムまず、朝一番は「IoT推進コンソーシアム2016年度総会」に出席。第4次産業革命は以前から注目していて、実は、昨年からIoT推進コンソーシアムの有識者会員にもなっているのですが、その目的はもちろん今後の雇用のあり方の動向把握。

技術者ではないので、技術そのもののことは詳しくは分かりませんが、それでも以前はICTの最先端にいたので、それなりに理屈は理解しているつもりです。

すでに第3次産業といわれるIT革命が雇用に大きな影響を与えたことを身をもって見つめてきたので、技術の話を横目でチラチラと見ながら、第4次産業革命で雇用はどうなっていくのだろうとウォッチをしています。

今日の総会では、「IoT、次の一手。世界の潮流と将来展望」をテーマにパネルディスカッションがあり、モデレーターはあの慶應義塾大学の村井純教授。20年ぶりぐらいに拝聴しました。村井純先生こそ日本のインターネットを牽引した人です。

グローバルに英語の通訳付きのパネルでついでに英語のお勉強も(^^;

先端技術に一方的な質問

kirobo-miniざっくりと全体像を把握したうえで、いざ展示会場へ潜入。いきなりトヨタの「KIROBO mini」(¥39,800)とご対面。

自発的に会話するとか、コミュニケーションしながら変化・成長していくとか、ユーザーの表情を読み取るとか、“心”があるような印象や動きとか。

これをオモチャと見るかどうかは別として、この価格でこういうものができてしまう時代に入ったということですね。

IoT, AI, ロボット, ドローンなどの先端技術の象徴的な物体なのだと思います。

…で、「KIROBO mini」そのもので雇用がどうなるかは別として、さっそく出展者のブースを細かく見て回ることに。

必ず質問するものとして、設定したのは以下の2点です。

  • 質問1 この技術で人がいらなくなるのは?または、人件費が削減できるのはどんな仕事?
  • 質問2 いらなくなった人はどうなるの?

まず、質問1ですが、あるブースでは…;

「倉庫内の運搬やピッキングに必要な人がいらなくなります」

あるブースでは…;

「すでに言われてますがドライバーはいらなくなりますね」

また、あるブースでは…;

「コールセンターの要員は抑えられるようになると思います」

ほかのブースでは…;

「工場の人はいらなくなりますね」

他にも…;

「お店の性格にもよりますが接客をする人はいらなくなります」

「事務センターの人はほとんどいらなくなると思います」

「警備員さんはさんは少なくて済みます」

「品質管理の人はかなり減らせます」

「駐車場で車を整理する人は不要になります」

「販売員さんの人数を減らすことができます」

会場なるほど、人件費を削減すること企業経営の業績向上にとって非常に重要です。人件費を抑えるためのソリューションとしても、第4次産業革命はいいこと尽くめということですね。

次に人員削減について答えてくれた人にそれぞれ質問2、つまり「いらなくなった人はどうなるんですか?」と尋ねてみると…;

 

ある人は…;

「……。」

またある人は…;

「ん~…。」

他の人は…;

「どうなるんでしょう…。」

ほぼ全員が同じ状況。要するに誰に聞いても職を失う人のことはまったく考えてられていないのです。

「ロボットが受け答えをしてくれて、説明もきちんとしてくれるなら、あなたも要らなくなるんですよね?」と尋ねると…;

「そうですよねえ」と悲しい顔に。

かろうじて、それらしいことを答えてくれたひとは…;

「人にしかできない仕事をしてもらうことになりますね」と。

それはそのとおりなんでしょうけど、それが何なのかは結局のところみんな「…。」なのです。

「昔、鉄道で切符を切っていた人が、今では障がいのある人のサポートをしているでしょ」と話をしたら、「そうそう、そういうことですよね」と嬉しそう。「でも、そういうサポートも会話の相手もこれからはロボットがするんですよね?」と。…また悲しそう。

「人が便利になるものを創った結果、人が不幸になるというのはどうなんでしょう。そこは考えなければならないところではないですか。だからといって開発を止めろという気はもちろんないですよ。重要なことはそれによる弊害をどう克服するかということも併せて考えることではないですか」と布教活動をしてしまいました。

そうそう。何人かの人に「いつごろ、これが実現しますか?」と質問3もしてみました。

少なくとも5年とか10年単位で答える人はいませんでした。レベルは別としても、ほとんどの答えは2~3年。早いものでは、来年か再来年。想像以上に早いスピードで世の中が変わり、それに伴い雇用が変わっていくことになるのだろうと思います。

雇用創出の鍵は「…。」

実はこの「…。」が何なのかを考えることこそ、人材サービス事業者の皆さんが考えるべきことなのです。

正直なところ、今まで人材サービスが雇用の創出をしている」という文脈には、今一つ懐疑的でした。

例えば、情報通信が発達して多くのサービスが現れると、電子デバイスメーカー、通信機器メーカー、システム会社、ソフトウェア会社、コンテンツ事業者、販売店、メンテナンス事業者、人材サービス事業者、広告代理店などでとてつもなく多くの雇用が生まれました。

それは人材サービス事業者が雇用を創ったのではなく、情報通信技術が雇用を創ったと考えた方が自然で、人材サービスはそのサポートといわれても仕方がないようにも思います。

つまり、自然発生的に人材ニーズが湧きだしたとも言えるのです。

しかし、今回の第4次産業革命どうでしょう。もちろん、自然発生的に生まれる人材ニーズもあるでしょう。

ただし、そこに発生する人材ニーズは高度な知識、経験、技術をもつ人にシフトをしていくことになります。

質問1で「いらなくなる人」のすべてがそのような高度な仕事に就くことができるかというと必ずしもそうではないはずです。

自然発生的に必要となる業務以外に「いらなくなる人」のために「…。」が何なのかを探し、そのためにキャリア形成支援をし、本当の意味での「雇用を創る」のは人材サービス業の役割なのではないでしょうか。その鉱脈を掘り当てた人材サービス事業者が次の覇者です。

そんなことを考えながら、この手のショーとしてはかつてないほど真面目?に質問を重ね、ほぼ閉館時間まで歩き回り、最先端の知識を吸収してきました。やはり、自分の目でみることは重要です。

かつてプロモーションの観点から、大規模なブースを出展する側に立ったことも何度もあるし、同じショーでもまったく違う見方をしていたこともありますが、目的意識が変わるとショーの見方も変わるというのもおもしろいものです。

心地よい疲れを感じながら帰りました。幕張は遠い!(笑)

お世話になっている勤怠管理システムのASPEXさんのSFAのブースにも立ち寄り

お世話になっている勤怠管理システムのASPEXさんのSFAのブースにも立ち寄りました

 

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