そろそろ9月も後半に入り、「暑い」という言葉も出なくなりましたね。4月-3月決算の企業にとってはそろそろ後半戦ということになりますが、同時に来期の戦略策定にも手をつける頃でしょう。
先日、拙ブログ「法改正はリスク?チャンス?」で「環境分析は経営戦略策定の基本」と書きましたが、もう少し掘り下げてみましょう。
一言で「環境分析」といっても大きくは外部環境と内部環境があります。内部環境については自分のことなのだから、とりあえず分かっているということを前提とするならば…本当は自分のことを分かっていないことも多いのですが…とりあえず今回は外部環境にしぼります。
スティーブ・ジョブズは、「先を見て点をつなげることはできない、できるのは過去を振り返って点をつなげることだけだ。」と言っています。さすがにイノベーションの神様ですね。
もちろん、経験や勘、予想や予測、もっと言えば洞察というものは非常に重要です。しかし、それらも基本となる環境分析ができていてこその話です。思いつきだけではなかなか上手くいきません。あくまでも基本あってのことです。
外部環境もマクロで見るものとミクロで見るもの、かなりズームを利かせて掴むことが必要です。
いろいろなフレームワークを使って考えることが効率がよいと思いますが、マクロ分析で言えばまずはPEST分析、もう少し近いミクロ的なもので言えば3Cや5フォーシーズなどによって全体像を見極める作業が求められます。
何事もそうですが、全体像を捉えないと目先に捕らわれ、取るべき道を誤る可能性が高くなるのは言うまでもありません。
人材サービスが規制対象業種であることから拙ブログでも外部環境として戦略策定のお役に立つよう主に雇用労働法制にまつわることをお知らせしていますが、これにしてもPEST分析のPolitics(政策・法律・制度など)のごく一部にすぎません。
Pといっても労働者派遣法だけ押さえておけばよいというものでもありません。最近で言えば、例えば以下のようなことについてオペレーションにも影響を与える問題として抑えておかなければならないのはご存知のとおりです。
- 改正労働契約法(2014年4月1日施行)
- 同一労働同一賃金推進法の制定(2015年9月16日成立)
- 年金機能強化法(社会保険の適用拡大)(2016年10月1日施行)
- 職業能力開発促進法の一部改正(2016年4月1日施行)
直近では「規制改革推進会議」や「働き方改革実現会議」の動向からは目が離せなくなっています。
少し前ならば労働法制ではなくても、マイナンバー制度や証券業界でのNISAの導入、電力の発送電分離などビジネス上の機会を抑えることが求められたことも記憶に新しいでしょう。
また、外部環境と一言にいってもどの視点で捉えるかも非常に重要になります。人材サービスに引き寄せて考えると、世間一般にいわれることだけでなく、地域や業種、職種などの観点でも捉えておくことも必要になります。
世界経済や日本経済よりも地域経済の方が大きな影響を受けることが多いでしょうし、自社が得意とする業種や職種に関する動向、取引先となる企業の業界や働く人びとの価値観の変化なども見通すことが求められます。
「戦略策定」といった瞬間、来期の売上目標はいくら、利益目標はいくらという話が飛び交う例も少なくありませんが、本来、その売上目標、利益目標はどのような根拠に基づいて出てきたのかということが大切なのであって、根性論、精神論でひねり出すものではありません。
なんとなく策定した戦略ではPDCAをまわすこともできません。PDCAがまわせないということはさらなる改善、上昇は難しいということになります。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」といいます。まずは、基本となる外部環境をしっかり把握し、さらに内部環境をしっかり分析したうえで精度の高い戦略策定につなげたいものですね。
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