10月18日のアドバンスニュース「「転職して不利にならない仕組みづくり」から議論開始 規制改革推進会議の人材WGが初会合」で、先月9月12日に発足した「規制改革推進会議」の分科会「人材ワーキンググループ」の初会合が開催されたことが報じられました。
そこで、「人材ワーキンググループ」についてもう少し詳しく見てみましょう。
すでに拙ブログ「「第1回規制改革推進会議」開催」でお伝えしたように「ワーキンググループ」は「規制改革推進会議」の分科会に当たるもので、その委員の顔ぶれが注目されるところでした。
10月6日の「第2回規制改革推進会議」で、「農業」「人材」「医療・介護・保育」「投資等」の4つのワーキンググループが設置されることになり、「人材ワーキンググループ」の委員については以下の4名に決まっています。
規制改革推進会議 人材ワーキング・グループ 委員名簿
座長 安念潤司 中央大学法科大学院教授 座長代理 八代尚宏 昭和女子大学グローバルビジネス学部特命教授 飯田泰之 明治大学政治経済学部准教授 長谷川幸洋 東京新聞・中日新聞論説副主幹 |
「規制改革会議」の「雇用ワーキンググループ」と比較するとややコンパクトな構成になった感じです。
名称が「雇用ワーキンググループ」から「人材ワーキンググループ」になったのはどのような意図があるのでしょう。
八代先生が座長になるのではないかと予想していたのですが、八代先生は座長代理に就任されました。
座長には安念潤司氏という法学者でもあり弁護士でもあるという方、あまり雇用関係でお名前を聞かないように思いますが…。
飯田泰之氏は経済学者かつエコノミスト。経済系のTV番組には時折出演していますね。
長谷川幸洋氏はどうなんでしょう。東京新聞、中日新聞というとチョット左寄りなイメージもありますが、長谷川氏の論調を見てみると必ずしもそうではないような気もします。
いずれにしても、雇用・労働に精通しているのは八代先生ということになりますが、この委員の構成については、座長、座長代理というポジションも含めて、なかなかの深謀遠慮があるように見受けられます。
さて、次に「人材ワーキング・グループの当面の進め方」ですが、座長から以下のように示されています。
人材ワーキング・グループの当面の進め方について
人材ワーキング・グループは、「働き方改革実現会議」等における議論を注視しつつ、「失業なき労働移動」を推進する観点から、生産性の向上に資する人材活用のための規制改革に幅広く取り組む。 具体的には、まずは、「転職して不利にならない仕組みづくり」について議論を開始する。 その際、「規制改革実施計画」に盛り込まれた「転職して不利にならない仕組みづくり」と関連がある事項(就職・転職が安心してできる仕組みづくり、ジョブ型正社員の雇用ルールの整備、雇用仲介事業の規制の再構築、労使双方の納得する雇用終了の在り方など)について、フォローアップを適確に実施しながら検討を進める。 なお、その他の規制改革実施計画に盛り込まれた規制改革事項のフォローアップも適確に実施する。 さらに、今後、議論の状況を踏まえ、審議事項の追加等を行う。 |
まず、「「働き方改革実現会議」等における議論を注視しつつ」とあります。働き方改革実現会議との住み分けが気になるところでしたが、「ダブることがないように」と取れます。
ご存知のように、働き方改革実現会議では、長時間労働の是正や、同一労働同一賃金などがメインとなりますが、「規制改革推進会議」の「人材ワーキンググループ」では、「働き方改革実現会議」では扱いづらい課題について議論がされるのではないでしょうか。
それを裏付けるものとして「「失業なき労働移動」を推進する」としており、根底には雇用の流動化を前提とした議論が進むことになると考えられます。つまり「転職して不利にならない仕組みづくり」から議論するとのことです。
その内容として、以下の4つが挙げられているのですが、いずれも雇用の流動化には不可欠です。
- 就職・転職が安心してできる仕組みづくり
- ジョブ型正社員の雇用ルールの整備
- 雇用仲介事業の規制の再構築
- 労使双方の納得する雇用終了の在り方
これまで「予見可能性の高い紛争解決システムの構築」とオブラートに包まれていたものが「労使双方の納得する雇用終了の在り方」と明確に表現されているところに、いよいよという感じが漂いますね。
「就職・転職が安心してできる仕組みづくり」は、最終的に「労使双方の納得する雇用終了の在り方」につながるということでしょう。
また、従来の規制改革会議で議論されたことやこれらに含まれないことについても取り組むとのこと。
働き方改革実現会議には厚生労働省もその事務局に加わっていることに対し、規制改革実現会議には加わっている形跡がないようです。やはり「働き方改革実現会議」とは別の角度から注視していく必要がありそうです。
それにしても秋晴れのいい天気が続きますね。この前、日光に行ったときだけ雨だったのですが、これはラッキーだったといういうことでしょうか(笑)。朝晩は冷えるのでご注意ください。
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