すっかり秋らしい気候になってきました。やっと天気も安定し気持ちの良い日が続きますね。
さて、今日のお題は「目先の売上」と「将来の成長」。ビジネスではどちらが正しいかとよく語られることです。
結論から言うと、「目先の売上」と「将来の成長」どちらも必要です。
■「ORの抑圧」と「ANDの才能」
まず、「目先の売上」と「将来の成長」を語る前に、「ORの抑圧」と「ANDの才能」を考えなければなりません。
つまり、「どちらか」ではなく「どちらも」ということです。ついつい、「どちらか」という思考になることはありませんか?
「忙しいんだから、AもBもできないよ」、「量と質、どちらだ」、あるいは「質を上げるためには、コストがかかって当たり前」という思考です。
これらは、価値を創出するための思考としてはいずれも×です。
トレードオフの関係にあるAとB、これらは「どちらも」実現していかなければなりません。そのバランスをとることがビジネスです。
■「緊急性」と「重要性」
さて、「AもBも、どちらも」ということを前提とすると、当然ながら、「目先の売上」と「将来の成長」も「どちらも」必要ということになりますね。
ところが、案外、これができていないことが多いのではないでしょうか。頭では分かっていたとしても、実際には実行できない。
なぜならば、人は「重要性」よりも「緊急性」を優先するからです。当たり前です。目の前で火事が発生しているのに、防火扉やスプリンクラーを取り付ける人はいません。
まずは、火を消すことが先です。このような場合は100%消火活動に集中するでしょう。
企業経営に置き換えたらどうでしょうか。業績不調で倒産寸前、今月の予算が達成できなければ…というようなシチュエーションであれば、当然100%営業です。
「目先の売上」を優先するのは当たり前ですね。特に導入期の企業はそのような場面に遭遇することが多いと思います。
■「20%ルール」はダテじゃない
一方、ライフサイクルとして、とりあえず導入期が過ぎ、成長期に入った、あるいはさらに安定期に入った企業はどうでしょう。
「目先の売上」もさることながら、「将来の成長」のことを考えて行動することが求められるはずです。
そうでなければ、「目先の売上」に一喜一憂するだけで、「将来の成長」を約束する企業風土が醸成されないからです。
Googleのイノベーションの源泉として「20%ルール」という制度が有名ですが、これは、従業員の勤務時間中の一定時間を、通常の職務を離れて従業員自身が取り組みたいプロジェクトに費やすことができるというものです。
だからこそ、Googleは世界でも希に見る急成長を遂げることができたのではないでしょうか。
この20%が妥当なのか、10%、15%がよいのかは、その状況や業種や職種によっても違うのかもしれませんが、いずれにしても「将来の成長」にいくばくかのリソースを充てることは企業経営にとって必須のことではないでしょうか。
■ ノンビリしている人材サービス業界
さて、これを人材サービス業界に当てはめてみるとどうでしょうか。アナログ的な仕事が多い、あるいはアナログ的な仕事が多いと考えられていることが多い業界という気がしますが、どちらかというと「目先の売上」だけでもなんとかなってしまう業界とも言えるのかもしれません。
製造業や情報通信、医療のような日進月歩の技術で将来が決まる業界と比較すると、人材サービス業界はノンビリしていると思うのは私だけでしょうか。
最近、いろいろな人材サービス事業者さんのお話をお聴きすることも増えましたが、事業者さんによって経営に対する認識の差はかなり開いているというのが印象です。
以前から言われているように「横のつながり」の薄い業界でもあり、また、相互に「手の内を明かさない」業界でもあるからでしょうか。客観的に見ると先々心配になってしまうような意識の事業者さんもあるのは事実です。
■ 原理原則に基づいた卓越したオペレーション
「目先の売上」を求めるタイプは「現象」を追い、「将来の成長」を求めるタイプは「ビジョン」を追うとされています。
「目先の売上」を追うタイプは成功ノウハウや市場のトレンドに目が向き、「将来の成長」を追うタイプは環境分析をしながら原理原則に基づいた戦略に目が向きます。
最初に申し上げたように、「目先の売上」と「将来の成長」は「どちらも」大切ですが、現状はどちらかというと「目先の売上」に対する意識のウエイトの方がはるかに大きいというのが実情のように思いますがいかがでしょうか。
事業者さんによって経営に対する認識の差がかなり開いているというのは、まさに「目先の売上」と「将来の成長」に対する意識の差と言えます。
現在は、雇用が変わる変革期の真っ只中です。いま「将来の成長」に意識を向けなければ、将来に向かって確実に収益を上げられるようにはなりません。
安定した経営につなげるためにも、経営理念、ビジョン、戦略、戦術、さらに組織、制度、人材育成など、原理原則に基づいた卓越したオペレーションを実現しながら「将来の成長」を図ることが必要です。
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