AIこれまで、何度かAIについて書いてみたのですが、実はこれ、ブログの反響としてはあまり大きくありません。人材サービスに携わる皆さんは、あまり関心がないのでしょうか。

とは言っても、私はこのインパクトは人材サービス業界にとって影響大有りだと思うので、メゲずに書きます(笑)。

私がどのぐらい注目しているかというと、以前も書いたかもしれませんが、昨年から「IoT推進フォーラム」に有識者会員として加わらせてもらっているぐらいで、先日もCEATECで会場をくまなく見学してブログに書いたとおりです。

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結構、新しいもの好きなので、第4次産業革命というとワクワクしますね。携帯電話が世に出始めたころのことを思い出します。

こんな「職種」は無くなる?

さて、無くなる「職種」。オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授が論文「雇用の未来」で「10年~20年後、約47%の人の仕事がなくなる」と予測した「職種」で、「90%以上の確率で消える仕事」と言われているのが以下です。

たしか、この論文が発表されたのは一昨年の今頃だったように思います。オズボーン准教授は少なめに見積もったと言っているので、この2年ぐらいの間にここに含まれるものは、かなり増えたのではないでしょうか。

  • 銀行の融資担当者
  • 電話オペレーター
  • レジ係
  • ネイリスト
  • 弁護士助手(パラリーガル)
  • ホテルの受付
  • 税務申告の代行者
  • 簿記・会計の事務員
  • 不動産ブローカー
  • 動物のブリーダー
  • 時計修理屋
  • 図書館の補助員
  • 塗装・壁紙張り
  • 造園・用地管理の作業員
  • セラピスト
  • 聴覚訓練士
  • 振付家
  • セールスエンジニア
  • 外科医
  • 歯科医
  • 小学校教員
  • 心理学者
  • 人材管理職
  • システムアナリスト
  • 聖職者
  • 民泊経営者
  • 看護師
  • 薬剤師
  • パタンナー

これを見る限り、これまで専門的と言われていた弁護士(パラリーガル)や外科医、看護師、薬剤師のような「職種」もなくなってしまうとのこと。小学校の教員や聖職者までというのは驚きですよね。

時計の修理のように、遠の昔になくなっている「職種」も含まれているのは不思議ですが…。

これらの「職種」を見ていると、これまで難易度で切り分けられたものよりも、論理的なものに置き換えられるかどうかが、判断基準のような気がします。

 働き方が変わる=雇用が変わる?

オックスフォード大学・オズボーン准教授 アデコ株式会社川崎健一郎代表取締役社長そこで、今日みつけた記事が以下です。前職の関係の記事で、はなはだ恐縮ですが、人材サービスをめぐるAIの話としてよい記事だと思います。

1つは、前述のように人材サービスが直面する働く人びとの雇用の問題、もう1つは人材サービスが事業者として自らの業務にどのようにAIを取り入れるかです。

この2つは分けて考える必要がありますが、明確に分けたうえで両者に向かい合わなければならないというのが現在の人材サービス事業者の立ち位置ではないでしょうか。決して遠い未来の話ではないはずです。

人工知能は人間の働き方をどのように変えるのか(ハーバードビジネスレビュー)

【対談】マイケル・オズボーン(オックスフォード大学准教授)×川崎健一郎(アデコ株式会社代表取締役社長)

生まれる「仕事」へのアンテナ

Robot無くなる「職種」があるのは、歴史的にも世の習いで、それ自体は仕方がないと考えるしかありません。人類の進歩と発展のために技術革新をしないというのは、それはそれで趣旨が違うと思います。

そこで人材サービス事業者にとって必要となるのが、生まれる「仕事」をいかに早くキャッチし、それこそ「失業なき労働移動」に結び付けることができるのかというのが、社会的な存在意義になるのではないでしょうか。

例えば、前述の無くなる「職種」には含まれていませんが、「職種」として警備はなくなっていくそうです。警備は人材派遣では派遣禁止業務なので、派遣できません。

しかし、これまで警備業務で必要とされていた業務に代わって、モニターによる監視をする「仕事」は増えます。そうなるとそこに派遣禁止ではない業務も生まれることになります。

ものの製造に関する「職種」もロボットに変わるのでしょう。しかし、ロボットを操作したりメンテナンスしたりする人の「仕事」、もっとさかのぼるとロボットを動かすプログラムを作る人の「仕事」は増えます。

スキルの問題もあるので、そのまま移行ということは難しいのでしょうけど、適性をきちんと把握したうえで、必要な人材育成をすれば適材適所にすることも可能になるのではないでしょうか。

さらに、その適材適所を見つけるのもAIの仕事になる可能性が非常に高いのです。

そうなると人材サービス事業者は、マッチングに費やす「職種」の時間はAIに任せ、カウンセリングのような「人」にしかできないような「仕事」に時間を割くことができるようになります。

これからは、アンテナを高く立ててそのような世の中の流れを読みながら、経営をしていくことも求められるということでしょう。アンテナっていうのも古いか…。。

重要なことは「人」のしあわせ

第4次産業革命については、拙著「雇用が変わる 人材派遣とアウトソーシング ─ 外部人材の戦略的マネジメント」でも以下のように触れています。

いつごろ、どのような職種が、どのくらい失われていくのか、そして、新たに必要となる人材に求められる知識、経験、技術といった能力やコンピテンシーはどのようなものか、どのくらいの人数が必要になるのかなどの検討も併せて行っていく必要があります。必要とされる人材の育成や確保も大きな課題になります。

どんなに素晴らしい技術であっても、それを創るのは「人」です。利用するのも「人」です。その技術によって「人」が幸福を得られるものでなくてはなりません。華やかな技術革新の陰に隠れがちな雇用の問題、とりわけ負の側面について適切かつ円滑に対処することは、社会的な視点として非常に重要です。

新たな技術革新により、「人」の思考や行動も変化していくことを考慮に入れた社会のあり方を考えていく必要があるでしょう。

技術革新は本来、「人」のしあわせのためにあるハズですが、一方では技術革新を止めることはできません。

いかに、その移行を円滑にすすめるかは人材サービス事業者にかかっているのではないでしょうか。

世の中、円高、円高と言われていたものが、トランプ氏が当選してから円安、円安と世の中動きが激しいですね。技術革新による変化は、労働法制や経済、社会の動きよりも早いと思います。人材サービスもこれから大きく変わりそうですね。

 

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雇用が変わる

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