トランプ昨夜は、トランプさんの大統領選挙後初の会見に見入ってしまいました。寝不足気味ですがリアルタイムに見ておいてよかったです。

どうしても報道では一部分の抜き出しなので雰囲気が分かりませんが、生中継はリアリティがあります。

お笑いのショーとして見ている分には、おもしろいのですが、これがそのままだとすると恐ろしさも感じます。

プーチンと上手くやっていけるかどうかわからないとか、メキシコ国境にフェンスではなく壁を作って費用はあとでメキシコに払わせるとか、CNNは「うそのニュースだ」とメディアに対しても”どこ吹く風”…。

いきなり円高、株安に振れましたね。

選挙中もそうだったので想定内なのかもしれませんが、それにしてもこのままこの調子で進むのでしょうか。

週刊ダイヤモンド「同一労働同一賃金」への冷静かつフェアな記事

さて、一昨日、1月10日の週刊ダイヤモンドの記事はご覧になりましたか?

「『同一労働同一賃金』の政府指針案に産業界が“どこ吹く風”の訳」という記事です。

「週刊ダイヤモンド」編集部の浅島亮子さんという方が書かれているのですが、個人的には非常に冷静かつフェアな記事だと思います。

トランプさんと比較するわけではありませんが、極めて常識的です。

大分以前、広報宣伝の仕事をしていたころから、この方の記事はとても分かりやすいと思っていました。

当時は、ダイヤモンド社さんともお取引があったのに、ついぞお目にかかることもなく残念でした。

企業の自主的な取り組みがカギ

この記事の内容は、昨年12月20日の拙ブログ「『同一労働同一賃金』始めなければ始まらない」、あるいは翌21日の「概ね実効性を疑う声『同一労働同一賃金』」でも採り上げました。

内容そのものは、概ねこの記事に書いてあるとおりです。

しかし、この記事は、最後の絞めがすごくいいですね。

「政府方針に依存することなく、格差是正と労働生産性を両立させた対策が急務であることは言うまでもない。」

私にとっては、この一文がツボでした。

そうなんです! 私はことあるごとに、同一労働同一賃金については、政府があまり介入しない方がよいと書いてきましたが、言いたいことはまさにコレなのです。

政府は口出さない方がいいけど、企業は自主的に取り組まないといけませんよ、ということです。

労働者派遣法も同じ

これは、派遣法も同じです。

法規制は労働者保護に絞り、事業規制は可能な限り排除、毎度のことです。

最近の法規制のあり方を見ていると、労働法制に限らず、法律で縛る方向性が多いのではないでしょうか。

年末に総務省が、企業が開発する人工知能(AI)に公的認証を与える制度を立ち上げる方針という報道がありました。

安全性やセキュリティーはもちろん大切ですが、あまり足枷をはめてしまうと、民間企業の活力を失ってしまいます。

同一労働同一賃金にしても派遣法にしても、企業が自主的によい制度をつくり、自主的によい雇用環境をつくることの方が重要だと思います。

法規制は必要だと思いますが、どのように縛るのかということは考えてもらいたいものです。

企業は”どこ吹く風”では済まされない

今後、一般企業や人材サービス事業者が自社の雇用環境を整えることを怠るどうなるのかということを考えればやるべきことは自ずと決まってくるのではないでしょうか。

国から規制されないとやらないというのは情けない気がするのです。

少子高齢化で労働力人口は激減します。第4次産業革命で雇用のあり方は激変します。

優秀な人材を雇用し、人財育成し、価値を創造しなければなりません。

拙著「雇用が変わる」では、今後の企業の雇用のあり様について以下のように書きました。

「多様で優秀な人材の雇用を創出し、そのモチベーションを高め、キャリア形成を図り、業務の品質や生産性の向上を果たす、あるいは新たな価値を創造するために、企業がこれまで未成熟だった外部人材をいかに戦略的にマネジメントできるかが問われているのです。」

「企業は人なり」です。人材サービス企業も同じです。

”どこ吹く風”では済まされません。

寒くなる、寒くなると言われているわりには、関東地方は天気もよく、比較的穏やかな毎日ですが、これから本格的に寒くなるそうです。暖かくしてお出かけください。

「同一労働同一賃金」の政府指針案に産業界が“どこ吹く風”の訳

週刊ダイヤモンド編集部 2017年1月10日

ある大手メーカーの人事担当幹部は、ほっと胸をなで下ろした。昨年12月末、安倍政権が進める働き方改革の“一丁目一番地”とされる「同一労働同一賃金」のガイドライン案の詳細が明らかになり、産業界は最悪の事態を回避できたことに安堵している。

そもそも、同一労働同一賃金とは、同じ仕事に従事する労働者には同じ水準の賃金が支払われるべきとする概念のこと。もともとは男女差別をなくす目的で生まれた考え方だが、今回のガイドライン案では、雇用形態による不合理な待遇差をなくすことを目的としている。

いまや日本の雇用者の4割が非正規労働者で占められており、まずは、同じ企業内で働く「正社員」と「非正規労働者」との間にある理不尽な差別を解消していこうというものだ。

政府とて、気合が入っていなかったわけではない。2017年度政府予算では、企業への助成金など同一労働同一賃金関連だけで約600億円もの巨費を投じる。

ガイドライン案には、基本給、賞与・手当、福利厚生、教育訓練・安全管理の四つのテーマに関して、非正規労働者をどのように待遇すると問題が生じるのか、具体的に示されている。その実例集はA4用紙で16枚の分量に及んだ。

鳴り物入りで開示された指針案に、本来ならば、産業界は戦々恐々としているはずだった。

特に、非正規労働者に昇給や賞与の支払いを課す対応は、総人件費のアップにつながりかねない。

となれば、人件費抑制をにらみ正社員の賃金体系・社内規定の抜本的見直しに踏み込まざるを得ないからだ。

産業界の防御ポイント

ところが、である。政府の締め付けにも産業界はどこ吹く風だ。

まず、今回のガイドライン案はあくまでも「案」にすぎず、法的拘束力を伴うものではない。

ガイドライン案が実効力を持つには、労働契約法など3法の改正が必須だが、その日程が定まらない。

 「早ければ秋の臨時国会に法案提出は可能だが、現実的には18年秋にずれ込むこともなきにしもあらずだ。それまで、『案』は棚上げになる」(ある官庁幹部)という。

次に、産業界が懸念していた「立証責任の(労働者から企業への)転換」は見送られた。

正社員と非正規労働者との待遇差をめぐって訴訟となった場合には、今回のガイドライン案が司法判断の根拠ともなり得る。

ただし、その不合理な差別の立証責任は企業ではなく、労働者が負うこととなり、産業界は最大の防御ポイントを守り切った。

もっとも、これで公平な労働ルール策定を進める「働き方改革」を産業界が後退させていいということにはならない。

政府方針に依存することなく、格差是正と労働生産性を両立させた対策が急務であることは言うまでもない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)

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