こんにちは。人材サービス総合研究所の水川浩之です。

労働新聞2月20日号の「人材ビジネス交差点」(P.10)に寄稿させていただきました。

労働新聞の通算第3101号とのことです。なんとなく100回に1回のキリのいい号ですね。

労働新聞社の読者層は、半分弱が企業、3割強が役所や団体など、そして2割程度が社労士・弁護士とのことです。

半分弱の企業の中に人材サービス事業者も含まれるのでしょうけど、現実的には人材サービスを利用する側の企業が圧倒的に多いのだと思います。

執筆にあたって

そのような読者層を対象に「人材ビジネス交差点」という名称のコラムで何を書いたらよいのかといろいろと考えてしまいました。

「交差点」という言葉から、人材サービスを利用する企業と人材サービスを提供する企業の双方の接点となるようなことを求められているのだろうと思います。

そこで、いずれが読んでも理解できる内容にしてみました。

私自身が、人材サービスを利用する企業と人材サービスを提供する企業の双方を経験した珍しい立ち位置にいると言われています。

その意味では、これを書くには適しているのかもしれませんが、それにしても難題でした。

そこで、客観的な視点で人材サービスをとりまく環境を概観したうえで、法制度の問題、第4次産業革命の影響に触れ、最後は人材サービス事業者の皆さんへのメッセージという構成にしてみました。

志の高い「真の経営力」習得を

人材サービス総合研究所 

所長(経営コンサルタント) 水川浩之(東京)

人材サービス事業者にとって、改正労働契約法、改正労働者派遣法、同一労働同一賃金推進法、さらに社会保険の適用拡大など、経営的な視点では逆風ばかりだ。

もとより、労働者の保護や悪質事業者の排除につながる法規制はより厳格化されることが求められる。同時に事業の自由度を奪い労働市場の活性化を阻む規制の排除も望まれる。

人材サービスは、その名の通りサービス業である。あらゆる民間のサービス業がそうであるように、事業規制は可能な限り排除し、健全な競争環境を整え、市場原理に任せる方が、受益者が受けるメリットは大きい。

人材サービスの直接的な受益者は、言うまでもなく労働者と企業の双方である。これまでの労働者派遣法の変遷を振り返ると、政争の具として扱われたり、心ないメディアの報道に翻弄されたりと、本質とは異なるところで議論が進むことも多かった。

本来の受益者の利益を損ねる結論に至ったことも少なくない。そろそろ、受益者にとって何が本当に大切かを考えていかなければならない。

働き方改革実現会議で議論されている「同一労働同一賃金」の推進もさることながら、「マージン率の開示」や「日雇派遣の原則禁止」など疑問の多い平成24年改正法、十分な議論が尽くされなかった平成27年改正法の附帯決議の再検討も不可欠だ。

環境の変化が社会にもたらす影響も計り知れない。特に、AIやロボット、IoTなど、第4次産業革命への本格的な突入は、現在の雇用の常識を大きく変える可能性が高い。その変化は人類がかつて経験したことがないほどの速さでやってくる。

これまで安泰とされてきた職種が瞬く間に凌駕されることも十分に予想される。一方では新たに必要とされる仕事も生まれる。

 人材サービス事業者には、顕在化した企業の人材ニーズに対応するだけでなく、潜在的な雇用の機会を新たに創出することが役割として求められる。

 労働者のキャリア形成支援も含め、新たな仕事に適合する人材開発をすることも必須だ。

人材サービス事業者自身の経営も変わらなければ明日はない。

理念に根ざした質の高い経営戦略の構築や組織・制度の整備、コンプライアンスの徹底、リスクマネジメント、あるいは、熱意ある人材の育成、質の高いサービス、卓越したオペレーション、生産性の向上が重要になる。

目先の業績だけに捉われず、志の高い「真の経営力」を身につけることが必要だ。

「経営力」はインサイドアウトで

文字数が1,000文字の指定だったので、どうしても広く薄くなってしまいますが、逆に大局的に見ると、これから人材サービス事業者の皆さんに求められることはこういうことなのだろうと思います。

いつも言うことですが、問題が自分の外にあると考えるのではなく自らを問うこと、つまり、インサイドアウトの考え方が必要なのではないでしょうか。

そもそもこの事業は何のためにやっているのかから、もう一度問い直すことで、大きな変革期をぶれずに乗り切るための軸をもつことが大切だと思います。

「経営力」は習得するもの

一つだけ裏話ですが、タイトルが「志の高い『真の経営力』習得を」となっていますが、実際に私が寄稿した段階では「志の高い『真の経営力』を」としてお出ししたのですが、労働新聞社さんが「習得」と加筆してくださいました。

たしかに「経営力」は習って得るものなのかもしれません。

企業のライフサイクルとして、導入期、成長期、安定期、衰退期と言われますが、それぞれの時期によって経営のやり方も変わるはずです。

常に同じ方法が通用するとは限りません。むしろ、それが成長の足かせとなってしまうこともあるのではないでしょうか。

客観的な視点で、自らを見つめなおし、次のステージに立つことを考えることも必要ではないでしょうか。

情報源としての労働新聞

労働新聞は法制度の動きや行政の動き、判例など雇用、労働の専門紙です。

クライアント企業がどのようなことに関心があるかを知るという点で人材サービス事業者の皆さんにとっての情報源としても有用なものだと思います。

そもそも、クライアント企業に出入りしながら、クライアント企業よりも雇用、労働についての知識に乏しいということは考え物です。

原稿を掲載してもらったから言うわけではありませんが、アンテナを高く張ることも必要ではないでしょうか。

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