こんにちは。人材サービス総合研究所の水川浩之です。

今日は、リクルートワークス研究所のイベント「テクノロジーが日本の『働く』を変革する」に参加してきました。

プログラムは以下のとおりです。とても興味深いものでした。

  1. 招待講演「人口知能(AI)が生み出す新たな働き方」カーネギーメロン大学教授 Tom Mitchell氏
  2. 海外動向「米国にみるフリーランスが生き生き働く条件」ENOTECH Consulting 海部美和氏
  3. 基調報告「Work Model 2030 テクノロジーが「働く」を変革する」リクルートワークス研究所労働政策センター長 中村天江氏
  4. パネルディスカッション「Work Model 2030 変革への課題と方策」

「AI」の進展に関する示唆

AIについては私もたびたび採り上げていますが、方向性としては概ねこれまで語ってきたようなことかと思います。

そのような中で、いくつか示唆を得ることができました。

Tom Mitchell氏は、機械学習(Machine Learning)の第一人者と言われ、リクルートの人工知能(AI)研究所のアドバイザーとのことです。

横着をしてスクリーンの写真を一部採り上げさせていただきます。

プレゼンの中で「新しいビジネスより仕事の消滅を予測する方が簡単」というものがありました。つまり、「新しいビジネスの予測」は難しいということです。

私がいつも言っているような「雇用の創造」はまさにこの「新しいビジネスの予測」です。

人材サービス事業者として求められることは「想像力」と「創造力」による予測が必要ということではないでしょうか。

なくなる仕事ばかりではない

AIの進展によってなくなる仕事のことばかりが言われているような風潮もありますが、必ずしもすべてAIに取って代わられるものではないという認識がまず必要です。

多くの仕事はAIという新たな技術で高度化すると考える必要があるように思います。

例えば、そろばんで計算していたものが電卓を使うようになり、さらにエクセルが普及したことによって早く、正しい答えを導き出せるようになりましたが、その仕事そのものはなくなっていません。

恐らくAIが加わることで、蓄積されたエクセルのデータから何らかの規則的な変化を読み取ることで人には予測できない何かを見つけることができるようになるということでしょう。

それでも、人がやる仕事はなくならないということです。

本当になくなる仕事もある

ルーティンや単純作業は本当になくなるのだろうと思います。

今日のプレゼンの中にはこれらに携わる人の数の話はなかったのですが、ルーティンや単純作業で成り立っているものは、「労働集約的」といわれるとおり、人海戦術でこなされています。

数として最も人手を要するところです。

すでに職務分離が行われているケースも多くあります。

AIを初めとする新たな技術の導入によって、それに携わっていた人が一度に不要になるということはやはり忘れてはいけないのだろうと思います。

特に人材派遣、パート、アルバイトで対応されている仕事はこれに当たることも多いので、人材サービス事業者としては目が離せません。

新たな仕事の誕生

私自身が第3次産業革命といわれる情報革命を支える電気通信事業者での経験があるため、新たな技術が新たな雇用を生むということは想像に難しくありません。

通信の自由化によって、電気通信事業者だけでなく、通信機器、通信設備の製造や施設、ソフトウェアの開発、回線や機器の販売、メンテナンス、コンテンツ、付随するサービス、広告宣伝、人材サービスなどとてつもなく裾野の広い雇用を生み出しました。

今後AI、IoT、ロボットなどの第4次産業産業革命で、人材サービスの新たなボリュームゾーンとなるのは、このような雇用ということになるのではないでしょうか。

これに対応する人の育成も含めて考える必要があるのではないかと思います。

人にしかできない価値のある仕事の創出

私が人材サービスとして提案したいことは、新たな技術による新たな雇用だけでなく、さらにもう一段上の仕事、つまり「新しいビジネスの予測」=「雇用の創出」です。

新たな技術を使ったとしても、人にしかできない仕事を創ること、ロボットでもできるけど人の方がよい仕事をみつけること、そしてそれらの価値を高めること。

むしろ、アナログ的な要素が受け手にとって心地よさを感じるような仕事は必ずあるはずです。

なぜなら、私たちは人間だからです。人間だから人間と接したいということは間違いなくあります。

そのような仕事をクライアント企業に提案していける力をつける必要があるように思います。

雇用はアナログ的なことにヒント

すでにアナログ的なものへの見直しは始まっているように思います。ビニールレコードやカセットテープの見直しは顕著な例かもしれません。

いまやステレオで音楽を聴くという人は少なくなり、スマホで聴くようになってしまいました。

その一方でなぜかビニールレコードやカセットテープです。

AIにしてもIoTやロボットにしても、デジタル化を突き詰めたものです。

この半世紀ぐらいの間、世の中はひたすらデジタルを追求してきました。

しかし、一方では人がデジタルに疲れてしまったという側面もあるような気がします。

今後もデジタル化はますます進むと思いますが、その反面で人がアナログを求めるということがあるのではないでしょうか。

そこに新たな雇用の創出があるように思います。

ほとんど今日のイベントから話が脱線してしまいましたが、改めてこのようなことを考えるよい機会になりました。

なお、中村さんのプレゼンは、こちら「Work Model 2030 テクノロジーが日本の「働く」を変革する」の報告書をベースにしたものと思いますので、ぜひご参照ください。

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雇用が変わる

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