あれよあれよという間に師走も半ばを過ぎました。大掃除に、年賀状にと毎年のことですが、やっぱり慌ただしい感じがしますね。
日本労務研究会さまから発行されている月刊「人事労務実務のQ&A」2017年1月号の「書棚 – しょだな」で拙著「雇用が変わる 人材派遣とアウトソーシング ─ 外部人材の戦略的マネジメント」を紹介していただきました。1月号というのがすでに年が明けた感じですね(笑)。
月刊「人事労務実務のQ&A」は、一般企業の人事・労務に携わる方向けの雑誌で、ほとんど弁護士さんや社労士さんが執筆されています。
拙著の意図したとおりの書評を書いていただきました。
書棚 – しょだな
雇用が変わる 人材派遣とアウトソーシング ─ 外部人材の戦略的マネジメント 外部人材を活かしたこれからの人事マネジメントを提言 著者は、電気通信事業者でアウトソーシングの導入に携わり、その後人材サービス事業者に転身した経歴をもちます。 双方の企業の立場を経験した著者は、これまでの人材マネジメントはいわゆる正社員だけに焦点があたっていたが、これからはあらゆる雇用形態の「人」を活かすことを考えていく必要があるとの観点から、非正規雇用の中でも特に取り組みが遅れているされる外部労働市場の人材派遣とアウトソーシングに焦点をあて、これからの雇用のあり方を提言しています。 本書の内容は、次のように構成されています。「第1章:人材サービスを取り巻く雇用環境」では、労働者派遣法に関連する法改正の変遷や国内外の雇用環境の現状を捉え、人材派遣とアウトソーシングの成り立ちがひも解かれています。 「第2章:人材派遣の有効活用」、「第3章:アウトソーシングの戦力化」では、企業において人事管理や現場の業務に携わる担当者がこれからのサービスを公正かつ有益に利用できるよう要点を押さえながら、戦略的に活用するための考え方や実務について解説されています。 「第4章:雇用が変わる」では、我が国が抱える雇用問題の背景や今後のあり方が考察されています。 第1章では、労働者派遣法において実務に大きな影響を及ぼすことの多い業務運営上で参照すべき関連する規制の変遷が網羅されており、法制度を正しく理解し運用するうえで参考になります。 第2章、第3章では、人材派遣サービスとアウトソーシングの違いとそれぞれの導入のメリット・デメリットが解説されており、人事管理の担当者の判断基準に役立つ内容となっています。 グローバル化や高度情報化の伸展に伴う多様な人材の活用に対応するための人事マネジメントを見直す機会となる一冊です。 なお、「人事労務実務のQ&A」のご購読はこちらからどうぞ。今なら、無料試読キャンペーンを実施中だそうですよ。 |
■ あらゆる雇用形態の「人」を活かす
「これまでの人材マネジメントはいわゆる正社員だけに焦点があたっていたが、これからはあらゆる雇用形態の「人」を活かすことを考えていく必要がある」と、本書で私が一番いいたいことを抜き出していただきました。
世の中、非正規が増えた増えたと、いわゆる非正規雇用の比率が高くなったことばかりが取り沙汰されますが、いわゆる非正規雇用が増えた分だけ、正規雇用が減ったわけではないのです。
法制度だけでなく、経済的にも、社会的にも、技術的にも、非正規雇用比率が増加したこと自体は誰のせいでもない。必然としか言いようがないのが実態です。
そうであれば、契約社員、パートタイマー、アルバイト、派遣社員、アウトソーシングといった雇用形態をいかにマネジメントするかを考えることが重要だと思うのです。
中でも派遣とアウトソーシングといった外部人材に的を絞ったのが本書です。
■ 業務運営上で参照すべき規制の変遷が網羅
第1章では労働者派遣法の変遷について延々と書いていますが、我ながら「くどい」と思っています(笑)。
業務上は現行制度だけをきちんと分かっていればよいという考え方もありますが、ものごと歴史的な経緯をきちんと知ることが大切だろうと思い、法改正の主な内容を列記しました。
もう一つは、このような紆余曲折を経て現在の法制度が成り立っていること、さらに積み重ねられた法制度をすべて知っていなければサービスの提供、あるいは利用が難しいということを言いたくて、できる限り並べてみました。
この部分を真面目に読むと眠くなります。読み方としては、本の上部に横線が引いてある部分(P.34~P.53とP.81~P.85)は読み飛ばしても問題がありません。
特長としては、例えば労働者派遣法の正式名称が「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」であるように、正式名称がなければ、なかなか正式な法文に行きつかないこともあるため、必ず正式名称も記載するようにしてあります。
必要なときにだけ、めくってみてください。
■ 人事管理の担当者の判断基準に役立つ内容
実は、クライアント企業、ユーザー企業向けの本ってほとんどないのです。本書を書くにあたって、いろいろと調べてみたのですが、多くは学識者、有識者の方が法律について書いてあるものです。
あるいは、事業者に向けて書いてあるものということになりますが、ほとんどの場合は法律の解説に終始していることが多いと思います。
業界の人が書いたものは、私も全員知っているぐらい狭い世界で、事業者向け、あるいは派遣労働者向けの本です。
したがって、クライアント向けの本はほとんど見当たらないということになりますが、特にアウトソーシングのマネジメントについてはかなり珍しいのではないでしょうか。
■ 人事マネジメントを見直す機会となる一冊
本書では、人材派遣やアウトソーシングが増えたことについて良いとも悪いとも書いていません。必要とされたから増加したのでしょうし、不要となれば減少するのでしょう。
これは需給調整の観点からも市場に委ねる部分であり、人材マネジメントとしてパートタイマーやアルバイトよりよければ増えるでしょうし、人材派遣やアウトソーシングよりもいわゆる正規雇用の方がよいのであれば減るのでしょう。
これらは企業や業種、あるいは職種によって人材マネジメントに求めることが異なるのだと思います。
したがって、人材派遣やアウトソーシングを利用するのであればこうした方がいいですよ、という観点で書かせてもらいました。
発行元となる労働調査会さまと日本労務研究会さまに改めてお礼申し上げます。
今後ますます雇用環境は激変するのだろうと思います。企業は激変する雇用環境のなかでいかに戦略的に人材マネジメントを行うかが問われているという意味で見直しの機会になれば幸いです。
ちなみに本書の英題として「The Upheaval of Employment」とついていますが、これは出版社さんがつけてくれました。
外資系の出版社として英語の題字を入れることになっているそうですが、「Upheaval」の意味は「激変」なのだそうです。
これからの技術革新で「激変」することは間違いなさそうですね。
関東地方は毎日いい天気ですが、空気がとても乾燥しています。風邪などひかないようご注意ください。さて、これから年賀状にとりかかります。
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