こんにちは。人材サービス総合研究所の水川浩之です。
本当に暖かくなったり寒くなったりの三寒四温の毎日が続きますね。
少し前の話になりますが、2月13日に経済産業省が「新産業構造部会人材・雇用パート (討議資料) 」というものを公表しています。
これは、2016年4月に経済産業省の産業構造審議会から公表された「新産業ビジョン」の中間報告に基づいた既出のものですが、冒頭に「第4次産業革命による就業構造の転換」として、具体的に増加する仕事、減少する仕事について記載されています。
拙著「雇用が変わる」で、「経済産業省の産業構造審議会は、 2016年4月の『新産業ビジョン』の中間報告 として、2030年までに国内で735万人の雇用が減少するとの試算を発表」というところまでは書いたのですが、詳細については書いてなかったので、フォローアップとして、その内訳を知らせしておきます。
735万人というと東京都の人口の80%近くということになりますが、その影響は想像を絶するものがあります。しかも、10年余りの猶予しかありません。
いつも同じことで恐縮ですが、人材サービスに携わる事業者の皆さんは、経営理念に基づき、経営戦略を策定し、ぶれなく事業運営を図ることが求められています。
時代の転換期に洞察力をもってしっかりと根を張ることが重要ではないでしょうか。
新産業構造ビジョン中間整理(平成28年4月)
第4次産業革命による就業構造の転換① AIやロボット等の出現により、定型労働に加えて非定型労働においても省人化が進展。人手不足の解 消につながる反面、バックオフィス業務等、我が国の雇用のボリュームゾーンである従来型のミドルスキル のホワイトカラーの仕事は、大きく減少していく可能性が高い。 一方、第4次産業革命によるビジネスプロセスの変化は、ミドルスキルも含めて新たな雇用ニーズを生み 出していくため、こうした就業構造の転換に対応した人材育成や、成長分野への労働移動が必要。 <上流工程(経営企画・商品企画・マーケティング、R&D)> • 様々な産業分野で新たなビジネス・市場が拡大するため、ハイスキルの仕事は増加 (職業例)経営戦略策定担当、M&A担当、データ・サイエンティスト、マス・ビジネスを開発する商品企画担当やマーケッター・研究開発者、その具現化を図るIT技術者 • データ・サイエンティスト等のハイスキルの仕事のサポートとして、ミドルスキルの仕事も増加(※)技術革新の進展スピード次第 (職業例)データ・サイエンティスト等を中核としたビジネスの創出プロセスを具現化するオペレーション・スタッフ • マスカスタマイゼーションによって、ミドルスキルの仕事も増加 (職業例)ニッチ・ビジネスを開発する商品企画担当やマーケッター・研究開発者、その具現化を図るIT技術者 <製造・調達> • IoT、ロボット等によって省人化・無人化工場が常識化し、製造に係る仕事は減少 (職業例)製造ラインの工員、検収・検品係員 • IoTを駆使したサプライチェーンの自動化・効率化により、調達に係る仕事は減少 (職業例)企業の調達管理部門、出荷・発送係 <営業・販売> • 顧客データ・ニーズの把握や商品・サービスとのマッチングがAIやビッグデータで効率化・自動化されるため、付加価値の低い営業・販売に係る仕事は減少 (職業例)低額・定型の保険商品の販売員、スーパーのレジ係 • 安心感が購買の決め手となる商品・サービス等の営業・販売に係る仕事は増加 (職業例)カスタマイズされた高額な保険商品の営業担当、高度なコンサルティング機能が競争優位性の源泉となる法人営業担当 <サービス> • AIやロボットによって、低付加価値の単純なサービス(過去のデータからAIによって容易に類推可能/動作 が反復継続型であるためロボットで模倣可能)に係る仕事は減少 (職業例)大衆飲食店の店員、中・低級ホテルの客室係、コールセンター、銀行窓口係、倉庫作業員 • 人が直接対応することがサービスの質・価値の向上につながる高付加価値なサービスに係る仕事は増加 (職業例)高級レストランの接客係、きめ細かな介護、アーティスト <IT業務> • 新たなビジネスを生み出すハイスキルはもとより、マスカスタマイゼーションによってミドルスキルの仕事も増加 (職業例)製造業におけるIoTビジネスの開発者、ITセキュリティ担当者 <バックオフィス> • バックオフィスは、AIやグローバルアウトソースによる代替によって減少 (職業例)経理、給与管理等の人事部門、データ入力係 |
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