こんにちは。人材サービス総合研究所の水川浩之です。
■ Googleが人材サービス提供
先週、アメリカ時間の5月17日(水)、グーグルが「Google For Jobs」をリリースしたというニュースが飛び込みました。現時点で、ググってみると以下のような報道がされています。
要点をまとめると概ねこのようなことが言えます。
GoogleがFacebook、Linked-In、その他、大手求人広告媒体と協力して、個人が自分に合った求人情報にアクセスさせるシステムを開発したとのこと。Googleだけでもすごいのに、この布陣は強力すぎますね。
業種、職種、役職、雇用形態、地域、通勤時間などももちろん対象となる。類似の職種も検索する。
AIや機械学習を使ったもので、求人企業が求人情報を掲載する機能もある。
数週間で、アメリカでサービスをサービス提供を開始する。今後アメリカ国外への展開も予定とのことです。
■ 見通されていた「Google」の可能性
第一印象は、「いよいよきたか!」という感じです。
というのも、もう10年近く前になりますが、売上規模で世界最大のAdecco Groupの創設者、故Klaus J. Jacobs氏が来日した折のことを思い出すからです。
その時、私は京都、奈良を2泊3日案内したのですが、その時の彼のコメントが非常に心に残っています。
曰く「アデコのコンペティターは既存の人材サービス事業者ではなくGoogleだ」と。これには痺れましたね。
彼はとても紳士であり、真摯な人でもありましたが、この時の力強さは印象的でした。
■ マッチングに変わりはない
たしかに「検索してマッチングする」ということ自体は同じなのです。
ここに挙げた記事の中にも「Googleは、求人の検索があらゆる人々の生活の中で最も重要な検索の1つであることに気付いた」とコメントをしているものがありますが、人材サービス事業者の皆さんであれば、すでにそのことは十分ご存知ではないでしょうか。
これまで、人材派遣、人材紹介などの人材サービスでは、人による検索にせよ、システムによる検索にせよ、結局は印象や記憶、データから適切な人を選び出すということがサービスの本質でした。
そこにいよいよGoogleが参入するというのですから、ある意味脅威です。Googleは世界中の求職者と世界中の求人企業の検索を可能とするのではないでしょうか。
■ 当面は求人情報サービスと共存
ただし、当初は「既存の求人情報検索サービスと直接競合する意図はない」と「むしろ彼らとパートナーシップを結ぼうとしている」とのことです。
したがって、直ちに何かが大きく変わるということはないのかもしれませんが、Googleのポテンシャルを考えると、やはり脅威になることは十分考えられます。
Googleの課題はどのようにマネタイズするのかとされていますが、現行のGoogleのビジネスモデルで考えると、求職者のサイト上で、人材サービス事業者や雇用を取り巻くビジネスの広告が表示されるということは推測されます。
つまり、求人事業者、求人企業がGoogleに広告宣伝費を投ずるというカタチは十分ありえると思います。フェースブックページが広く広告料収入をあげているのと同じようなことも考えられます。業界構造が変わるかもしれませんね。
■ 人材サービス事業者に求められる課題
今後、人材派遣、人材紹介など、人材サービス事業者に求められることは、求職者の検索にマッチしやすくなるような「求人SEO」対策ではないでしょうか。
求人情報に求められる法定の内容を押さえることは現在どおり当然ですが、それ以上に求職者との相性まで考慮した情報提供が求められるような気がします。
求人広告を出さなくても、直接、自社の求人情報がヒットするようになるのであれば、当然、その中身は今まで以上に重要ということになります。
まだ、詳細は不明ですが、まずはアメリカでの展開を注視していく必要がありそうです。
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