こんにちは。人材サービス総合研究所の水川浩之です。

急に気温が下がり、ひんやりした感じになってきましたね。一昨日のブログ「望ましい雇用政策のための、政局ぶっちゃけトーク」は妙に評判がよく、直接会った方からも面白い、その通り、スカッとしたと感想を頂きました。

基本的にはウケを狙っているわけでもなく、人材サービス総合研究所の宣伝をすることもなく、ただひたすらお読み頂いている人材サービス事業者の皆さまのためになることをと思って書いています。

従って、あまり品のないことは書きたくないのですが、雇用・労働政策については本当に政局に翻弄されてきた経緯があるので、どうしても触れずにはいられません。

福山哲郎×、山井和則〇

さて、前回の続きになりますが、希望の党が第一次の公認候補リストを発表しました。早速、中身を見てみましたが、なんと福山哲郎の名前はナシ、山井和則の名前はアリです。

この二人は労働者派遣法の平成24年改正の議論ではさんざん言いたい放題でした。適正に人材サービスを営む事業者だけでなく、派遣労働者にとっても派遣サービスを利用する企業にとっても天敵とも言えるような存在。まさにA級戦犯です。

民進党が希望の党への合流を発表したときに、「安倍政権を倒すため小池さんにつくことに全員が納得した」と発言し、小池百合子にしっぽを振った福山哲郎の名前がリストにはありません。もちろん、なくてよいのですが滑稽ですね。

一方、京都6区の山井和則は希望の党に潜り込み。なぜ?という感じです。信念ではなく立場でものを言う人=希望の党の立場に立てば発言も変わる人ということを見越しての公認候補入りということでしょうか。

小池百合子から見るとその程度のレベルという見下した評価と言えるのかもしれません。あるいは、小者であれば過半数議席の候補者に数合わせをした方がよいという判断でしょうか。

…と、ここまで書いてふと思い出しました。福山哲郎は参議院でした。つまり今回は関係ないのですが、いずれにしても事実上、民進党が解党しているのだから、行き場としては立憲民主党でしょうね。

都民ファーストの都議会議員が離脱

もう一つおもしろい出来事が、都民ファーストの音喜多駿都議と上田玲子都議の離党。都議会議員選以降、散々都民ファーストのけん引役になっていたはずの二人が希望の党の設立でお払い箱。それに嫌気がさして離党。

小池百合子に対する抗議ですね。安倍独裁政治を許さないと言いながら、いろいろと情報を見るにつけ小池百合子の独裁ぶりが際立っている。

政権選択選挙とされる衆議院選挙で首相候補もいない中で、党首の独裁だけで傀儡の首相が動くとしたら、それは怖いものがあります。

都知事選で支持した人からは呆れられるにしても、やはり衆議院選には堂々と出た方がまだわかりやすいですね。

立憲民主党はわずか6人?

立憲民主党はとりあえず、枝野幸男、菅直人、長妻昭、赤松広隆、海江田万里、辻元清美で結党。候補は特に大阪で日本維新の会とバッティングする議員を含めて50人ぐらいと報じられています。

ある意味、これまで理念もへったくれもない状態で民進党に同居していた中から、自らの主義主張を貫いて結束するということ自体は評価できます。

大分、構図がはっきりしてきました。「26業務適正化プラン」で人材派遣市場を大混乱に陥れ、結果として26万人の派遣労働者を派遣切りしたA級戦犯中のA級戦犯の長妻昭が新党の届出をしたとのこと。

彼の選挙区は私の実家のある東京7区。実家からは歩いて3分ほどのところに選挙事務所があります。自民党、希望の党には強烈な刺客を送り込んでほしいものです。

福山哲郎も山井和則も本来はこちら側のはずですが、こちらからも見放されるともっと面白いのですけどね。

連合は立憲民主党でもなく、もちろん希望の党でもなく、これも見方を変えると支持できる政党を失ったとも言えます。

個別の議員を支持すると言っていますが、結果的に現在の組合支持率をそのまま反映したようなカタチになってきたとも捉えられ連合も苦しい立場になったということになります。

雇用・労働政策にとって「吉」

さて、大枠についてはかなりハッキリしてきました。

珍しくBefore→Afterの図まで作ってしまいました(笑)。まず、Before。

ざっくりのイメージですが衆議院の議席数をもとに各政党の分布を示してみました。

これでよくわかるのは、民進党が左から右まで、理念の違いに関わらず同居していたということです。

これが烏合の衆の烏合の衆たる所以です。

当然ながら雇用・労働政策でも左から右まで意見はあったはずですが、対自民という構図から、政争の具として雇用・労働法制を弄ばなければならない状況にあったというのが明らかです。

これが今回の政変とも言うべき民進党解体から希望の党と立憲民主党への分離。つまりAfterになるとどうでしょう。

極めて分かりやすい構図になりました。彼らにとって少なくともこれで政争の具として雇用・労働政策を語る必要がなくなり、真正面から主義主張を唱えることができることになるのだと思います。

「雇用・労働政策」選択選挙

ここで間違ってはいけないことは、自民党1強で何でも自民党の法案がよいのかというと必ずしもそうではないこともあるということです。

Afterでそれぞれの立場は明確になるはずですから、自民党案に不足があれば希望の党に補足をしてもらいたいとも思いますし、誤りがあれば正すという姿勢で立憲民主党には発言をしてもらいたい。

少なくとも「政争の具」として扱うことだけは止め、本当の意味で労働者のためになる発言をして欲しいということです。

自由主義経済、市場主義経済の中で、いろいろな見地から議論をすることはよいことだと思います。これまでも野党の言い分で「なるほど」と思うこともありました。

だからこそ、「政争の具」としての議論ではなく、世のため人のための議論であってほしいと思います。

今回の選挙では、「国難突破」として「生産性革命」「人づくり革命」「改憲」、あるいは「消費税増税凍結」「原発ゼロ」などが争点として取り沙汰されています。

しかし、国会への法案提出が遅れるとは言え、働き方改革関連法案の審議が控えています。

人材サービス業界にとっては、「雇用・労働政策」選択選挙となるのではないでしょうか。

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