昨日、AI活用の新コンセプトストア「Amazon Go」のことを書きましたが、ローソン+パナソニックも新たなしくみを導入するそうですね。

いよいよ技術革新の嵐が吹き荒れるということでしょうか。

ローソンのしくみを見ているとお客さんが自分で商品をスキャンしなくてはならないため、「余計な手間」が増えるということになるようです。

私が想像していたのは、値札のバーコードの代わりにチップがついていてカゴに商品を入れると自動的にセンサーが読み込むというものでしたが、そこまでは行かないようです。

袋詰めが自動的にされるともなっていますが、必ずしもレジ袋に入れたいときばかりではないので、これは「余計なお世話」という気がしないではありません。

日本のローソン+パナソニックに頑張ってほしい気持ちもありますが、「余計な手間」「余計なお世話」という「余計」は顧客視点とは言えないように思います。

それに比べると、「Amazon Go」の方が圧倒的に人の行動を捉えているような気がしますがいかがでしょう。コストにもよるのでしょうけど…。

もっとAIやロボットに敏感に

人口知能の未来さて、今日のお題は、自動レジではなくその前提となるAI(人口知能)のことです。

AIというと拙ブログを書いていて最も反応が鈍い分野ですが、どう考えてもそうノンビリしていられないのがAIやロボットなどの第4次産業革命のはずです。

人材サービス事業者はもっと危機感をもつ必要があると思う、つまり非常に重要な分野だと思うので反応が鈍くても書き続けているわけです。

昨日の倉庫内作業にしてもレジ打ちにしても、比較的、労働集約的な職種です。これらはほんの一握りにすぎません。

人材派遣やアウトソーシングに該当する業務はこれらのような労働集約的な業務が多いはずです。

つまり、現在、クライアント企業(=ユーザー企業)から受注している職種の多くは、その必要性が問われることになるということです。

ホンモノの「雇用創出」の必要性

これまで、人材サービスの存在意義として「雇用創出」が言われてきましたが、本当の意味で雇用を創出しているかというと、私はそうではないと感じています。

多くの場合、クライアント企業からの要請に基づいて「人」をマッチングする、…本当の意味でそのマッチングが適切なものであればまだよいのですが、よい言葉ではありませんが単なる「頭数合わせ」にしかなっていないのであれば、とても「雇用創出」とは言えないのではないかと思うのです。

昨日の拙ブログで書いたように、むしろ新たな仕事を見つけ提案していくことで、あるべき「雇用創出」をしていかなければ、人材サービスの存在意義すら問われかねないことになってしまうようにも思います。

畑違いの「情報理工学」

%e6%ad%a6%e7%94%b0%e5%85%88%e7%ab%af%e7%9f%a5%e3%83%93%e3%83%ab実は、今日は東京大学大学院情報理工学系研究科のシンポジウム「人工知能の未来」に参加をしてきました。これまで東京大学というと社会科学研究所ばかりでしたが、情報理工学ですよ。会場のある校舎からして「武田先端知ビル」というなんとも近寄りがたい名称。

あまりに敷居が高くて、戦々恐々としながらも怖いもの見たさ?で参加してみたのですが、結論から言うと、これからの世の中を概観するためにも参加してとてもよかったです。

知らないことを学べるということは有難いですね。好奇心がくすぐられます。事前に問い合わせをしたら「高校生から参加可能だから大丈夫ですよ」とは言われましたが、それでも結構難解な話もありました。

加速度的な社会の変化

加速化する人類の歴史人類の歴史という観点で言うと、現在は「Society 5.0」なのだそうです。第5社会ということでしょうか。

1.0が狩猟社会、2.0が農耕社会、3.0が工業社会、4.0が情報社会で、今始まっているのが5.0の超スマート社会。

これまで私たちが過ごしてきたのは4.0の情報社会ということになりますが、狩猟社会が100万年単位、農耕社会が万年単位、工業社会が百年単位、情報社会が十年単位とその進化の加速度は驚異的に早くなっています。

私たちが過ごしてきた情報社会は1950年ぐらいから始まったとすると、たしかに60~70年という10年単位を費やしたということになりますが、これから始まる超スマート社会はさらにスピードが速くなり年単位でかなりの進化を遂げるだろうという話です。

「CPUの性能が18か月で2倍になる」というムーアの法則を考えても、年々加速度が増していることは日常生活でも実感できることですから、もううかうかしていられません。

人材派遣が不要になる職種

以前にも書いた、マイケル・オズボーンの論文「雇用の未来」で今後10年でなくなる仕事とされるもののうち、現在、比較的多く人材派遣の対象となっているものだけを抽出しても以下のようなものが考えられます。

  • 電話オペレーター
  • 給与・福利厚生担当者
  • レジ係
  • 娯楽施設の案内係、チケットもぎり係
  • クレジットカード申込者の承認・調査を行う作業員
  • ホテルの受付係
  • 電話販売員
  • 図書館員の補助員
  • データ入力作業員
  • 苦情の処理・調査担当者
  • 薄記、会計、監査の事務員

ここには倉庫の作業員は入っていません。つまり、オズボーンの挙げたものだけではないということです。実際にオズボーンも控え目にしたと言っています。

2020年のオリンピックに向けてあと4年しかありません。この4年間だけでも世の中かなりのことが変わっていくのではないでしょうか。

さらにその先の6年…。10年ひと昔と言いますが、10年ひと将来?です。昨今の時間の流れを考えると10年などあっという間ですよね。

破壊的イノベーションが世の中を変える

これから起きようとしていることは、恐らく破壊的イノベーションの数々なのではないでしょうか。

AIにしても考え方そのものはそれほど新しいものではないとのこと。AIが碁で人間に勝ったのもCPUの速さとデータの容量が増えたから、つまり計算するスピードと扱えるデータが大きくなったからです。AIは思想や世界観すら変えるのです。

そう考えるとローソン+パナソニックのような「仕事量を1割削減できる」などというチマチマした改善ではない爆発劇な変化があると考えた方が現実的ではないでしょうか。

事実、「Amazon Go」ではレジに人がいなくなります。投資額にもよりますが、コストは半分、人件費は7割減などということも起こりうるのです。

いま動かなければ、5年後になくなる事業者も多くあるのではないでしょうか。技術革新による雇用への影響は法制度よりも大きいはずです。

 

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雇用が変わる

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