昨日1月5日に、経団連、経済同友会、日本商工会議所の経済3団体の賀詞交換会で安倍首相が「今年は働き方改革、断行の年に」とコメントをしています。
昨日の拙ブログで今年は「同一労働同一賃金が台風の目」と申し上げました。
安倍首相は「断交」という強い言葉を発しましたが、働き方改革の優先順位の1番目に掲げられているのが同一労働同一賃金です。
実際にこのコメントの映像を見てみると、経済団体の賀詞交歓会の割には、安倍首相のスタンスは労働側の代表のような雰囲気もあります。
最近の法改正の議論も労使の立ち位置が逆転しているのではないかと思えるようなこともしばしばあります。
ストレートに言えば、連合を支持基盤とする民主党よりも、経済団体を支持基盤としている自民党の方が労働者寄りの発言をしているということです。
いわゆる大企業の正社員を守ることを軸とする連合の視点とすべての労働者を視野に入れながら、経済の活性化や少子高齢化といったマクロの視点との違いということになるのでしょう。
一つだけ気になるのが、「裁判での強制力を持たせるように法改正案を国会に提出する予定」というコメントです。
同一労働同一賃金については再三にわたって、国が過度に介入すべきものではないと私は申し上げています。
一足飛びに「裁判での強制力」まで強い位置づけにすることがよいのかどうかは慎重な議論が必要だろうと思います。
ちなみに、改めて働き方改革全体を見渡してみると、以下の9つの項目が含まれています。
- 同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善
- 賃金引き上げと労働生産性の向上
- 時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正
- 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題
- テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方
- 働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備
- 高齢者の就業促進
- 病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立
- 外国人材の受入れの問題
法的な強制力が必要なものと、一定程度市場に任せた方がよいものが混在しているように思います。
法的な強制力が強いと民間の活力を奪うことになるので目を光らせて置く必要があるのではないでしょうか。
やはり、人材サービスの経営にとって大きな変わり目となる年になりそうですね。
安倍首相「働き方改革、断行の年に」
経済3団体の祝賀会で 安倍晋三首相は5日、経団連、経済同友会、日本商工会議所の経済3団体が都内で開いた新年祝賀パーティーであいさつし「(2017年は)働き方改革、断行の年にする」と語った。同一労働同一賃金や、仕事と子育て、介護を無理なく両立できるよう「先頭に立って、働き方の根っこにある文化を変えてほしい」とパーティーに参加した経営者らに呼びかけた。 併せて、安倍首相は賃上げへの取り組み強化も求めた。「給料が上がれば、家族を持てる。希望もわき、働く意欲が上がる」とし「物価上昇に後れを取らない賃上げがあってこそ、デフレから脱却し、持続的な経済発展が望める」と話した。 経団連の榊原定征会長らと2日にゴルフをしたエピソードも披露。「私としてはいいスコアで、初めて榊原さんに勝てた」と打ち明け、会場の笑いを誘っていた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕 |
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