こんにちは。人材サービス総合研究所の水川浩之です。

昨日2月16日にランスタッド・アワードにお招き頂きました。

これまで毎年お伺いしていますが、会場となる東京国際フォーラムはこれまでで最も来場者数が多かったように感じました。まずはご盛会お慶び申し上げます。

https://www.randstad.co.jp/award/index.html

国内優良企業がズラリ

今年、エンプロイヤーブランドとして選ばれたのは以下の順位。錚々たる顔ぶれの企業です。

  1. 日清食品ホールディングス
  2. トヨタ自動車
  3. サントリーホールディングス
  4. 明治ホールディングス
  5. パナソニック
  6. 日立製作所
  7. キリンホールディングス
  8. ソニー
  9. キヤノン
  10. 味の素

また、海外部門としては、以下が選ばれました。

  1. アマゾンジャパン
  2. ジョンソン・エンド・ジョンソン
  3. MSD
  4. ノバルティスファーマ
  5. 日本イーライリリー

ブランディングに寄与

ランスタッドは、人材サービス事業者としては、売上規模で世界第1位のアデコと3位のマンパワーグループの間で世界第2位という位置づけです。

2011年にフジスタッフを買収してから、日本での存在感は非常に高まっていると言えます。

わずか6年ほどの間にそのブランド力を上げている要因の一つがこのランスタッド・アワードではないでしょうか。

これにより、ローカル国の優良企業を表彰する立場に回ることで、ランスタッド自身のステータスが上がる、また、表彰された企業とのグリップの強化を図れる、営業的な話題としてクライアントに情報提供ができる、さらに広報的にメディアに触れる機会が増加するということが考えられます。

表彰を受けた側の企業は、必ずランスタッドに感謝の念をもつことになるでしょうし、表彰されたこと自体が受賞企業のブランド力にも貢献します。

同社のブランド力向上に非常に大きな役割を果たしていると言えるでしょう。

単純に優良企業を表彰するイベントというよりも、非常によく練られたランスタッドの経営戦略であると捉えられるのではないでしょうか。

「社会的感受性」が大切

記念講演として、今年は脳科学者の茂木健一郎さんの講演がありました。

テーマは「脳とイノベーション ~発想の源泉と改革を生む組織づくり~」。

講演については、写真撮影、録音録画、内容のSNSへのアップは禁止とのことなので、多くは触れません。

茂木健一郎さんの既出の説として、これからの社会で人口知能は欠かせないという話に始まり、イノベーションは「社会的感受性」から生まれる。共感だけではなく、違うことを理解する、イノベーションはネットワークからしか生まれない、というお話は非常に興味深いものがありました。

人口知能については、私もたびたび書いています。ともすれば脳科学者から見れば、人口知能は人の脳にはかなわないという話になってもおかしくないとも思ったのですが、逆にお墨付きをもらったような気がします。

雇用戦略が経営戦略に

このランスタッド・アワードですが、以下の10の指標について、対象企業のイメージを問うものです。

  • ワークライフバランスが実現しやすい
  • キャリアアップの機会がある
  • 革新的な技術を活用している
  • 興味深い仕事がある
  • 職場環境が快適である
  • 社会的評価が高い
  • 今後の10年間を生き残ることができる
  • 環境や社会に配慮している(CSR)
  • 長期にわたる安定した雇用機会がある
  • 財務体質が健全である

ランスタッドは「雇用戦略が経営戦略になる」と言っていますが、恐らくこれからは経営戦略の一つとして自社の雇用戦略を考えることは本当に必要なことになっていくように思います。

先日も採用についてご相談を受けましたが、媒体をどうするとか、その表現はどうするとか、説明会でどうするということも去ることながら、事業者としての戦略が問われているとお答えしました。

これはブランディングそのものです。ブランド力を挙げるということは非常に重要な戦略と言えます。

無名の優良企業にひかりを

対象企業の選出方法は、以下とのことです。

連結ベースで、日本国内の従業員人数規模から、日系企業の上位180社と海外企業の上位30社を選定。さらに、従業員人数は調査基準を満たさないものの、社会に新しい価値を提示して躍進する10社の注目企業を加え、計220社の調査

前述のようなランスタッドのブランディングが目的ということであれば、それでよいのかもしれませんが、この選出方法では、ノミネートされる企業はいわゆる優良企業ばかりが常連となってしまうのは少し残念な気がします。

さらに、回答者の回答内容をみると以下とのことです。

回答者はまず、220社の調査対象企業の中から、自分が知っている企業を選択。次に、その選んだ企業に勤めたいかどうかを回答。また、調査ではランスタッドアワードの歴史と経験に基づいて選んだ“10の指標”による分析を行い、各調査対象企業のどの点がより魅力的であるのかを明らかにする。

第三者となる回答者からの「イメージ」によって選ばれるもので、全受賞企業をみても恐らく「事実」とは異なることもあるような気もします。

グローバルで同じ取り組みをされているのだとは思いますが、無名の優良企業にもひかりを当てるような賞であればもっとよいのではないかという感想ももちました。

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雇用が変わる

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