こんにちは。人材サービス総合研究所の水川浩之です。
今日は久しぶりに厚生労働省に行ってきました。新たに始まる検討会と労政審の部会です。
まず、一つは、午前中に「第1回中小企業・小規模事業者の働き方改革・人手不足対応に関する検討会」、そしてもう一つが午後の「第1回労働政策審議会労働政策基本部会」です。
双方とも先週末7月28日(金)に開催の告知があり、締め切りが当日の17:00、開催について知らされたのが、19:11の「新着情報配信サービス」でした。
これ、ちょっとヘンですよね。締め切り時間よりも後に知らされるって。
それにもめげずに私は17:40と20:02に申し込みをしました(笑)。
■ 新たに「労働政策基本部会」が設置
まず、「第1回労働政策審議会労働政策基本部会」ですが、これは、以前、労政審の政策が遅いのではないか、分科会や部会の縦割りになっているから議論しづらいのではないか、あるいはメンバーが適切ではないのではないか?という問題意識で設置された「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」の報告に基づき設置されたものです。
中長期的な観点で、三者構成にこだわらず、旧来の労使の枠にはまりにくい課題に対応するためにに設置されたようです。
審議事項として挙げられたのは以下のような内容です。
- 技術革新(AI等)の動向と労働への影響等
- 生産性向上、円滑な労働移動、職業能力開発
- 時間・空間・企業に縛られない働き方等
■ 曖昧な目的で設置?
とにかく、この「労働政策基本部会」、かなり慌てて始まったようで、冒頭、塩崎厚生労働大臣からも期間がない旨、挨拶で触れられていましたが、委員12名のうち3分の1の4名が欠席、2名が途中退室、最後までいたのは半分の6名。
スケジュール調整だけを見ても、楽屋裏が透けて見えるような状況でした。
内容的には、働き方改革の内容と昨年開催された「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会の報告書について説明があったあと、今後の進め方について議論がされました。
前述の審議事項だけが掲げられただけで、どこに向かって何を議論するのかということが定まっていないこともあり、かなり焦点がぼやけた印象は否めません。
塩崎厚労大臣の挨拶の中でもしきりに「自由に議論」という言葉が出ていましたが、自由過ぎて焦点が定まらないというのが正直なところでしょうか。
ある有識者と話をしたのですが、結局のところ今日の段階では、「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」の報告に基づいて、政労使ではない有識者によって会議を設置することが目的で、それ以上のことは考慮されていないのではないかという感じが拭えません。
次回は9月に開催とのことですが、それまでの間に水面下で調整が行われるようです。
ちなみに会期は来年の6月までだそうですが、見切り発車気味に始まっただけに、どのようにまとめられるのか注目です。
■ 個人的な意見としての労働政策
審議事項について、私が個人的に思うことは以下のとおりです。
まず「技術革新(AI等)の動向と労働への影響等」ですが、仕事として見たときに、失われるもの、新たに創出されるもの、仕事のやり方が変わるものの三つに分類されると思います。
さらに言うと、これまで以上に仕事の性質が二極分化し、いわゆるメンバーシップ型の仕事とジョブ型の仕事に分かれることは自然の成り行きとして避けられません。
「生産性向上」を行えば必ずこのような二極分化が起こることを前提とするならば、「ある業務」に「人」が固定されることは、むしろ企業にとっても働く人にとっても望ましいものではありません。
そうであれば「円滑な労働移動」は必須となりますが、それを誰がやるかです。一つはハローワーク、もう一つは民間人材サービス事業者。「職業能力開発」も人材サービスで支援できる部分もあります。
その割には、人材サービスは事業規制で大きな足かせをはめられて身動きがとりづらいのが実情です。
もっと事業規制を排除し、競争環境を整え、よりよいサービスを提供できるようにすることが必要だと思います。
もう一つ、「円滑な労働移動」のためには金銭解雇のことも決着をつけなければなりません。これまで長い間同じことが何度も繰り返して議論されてきましたが、そろそろ一定の結論を出す必要があるのではないでしょうか。
「時間・空間・企業に縛られない働き方等」は、テレワークのような技術的な面もさることながら、個人請負のような働き方が増すとするならば、セーフティネットを充実させることやベーシックインカム導入の検討なども労働政策として考えるべきだと思います。
■ 中小企業・小規模事業者の働き方改革・人手不足
午前中に「第1回中小企業・小規模事業者の働き方改革・人手不足対応に関する検討会」は、最近、中小企業の経営改革にかかわっていることもあるため行ってみました。
人材サービスの観点で傍聴したわけではないのですが、なんと座長が佐藤博樹先生。
佐藤先生もあまり専門とは言えないのではないかなぁと思いながらも、経済産業省中小企業庁と共催のカタチのこの検討会を傍聴しました。
こちらは、検討事項として以下が挙げられています。
- 働き方改革・人手不足を巡る中小企業・小規模事業者の現状把握 (優良事例の発掘・横展開を含む)
- 働き方改革等に対応する中小企業における課題の整理と支援策の検討 (雇用・労働政策面や中小企業等経営強化法の支援等)
- 各地域における横断的取組の推進(面的な支援体制の構築等)
なんとなく、どのような助成金をというような話が多くなるような気もしますが、個人的には、中小企業が生産性の悪いことの大きな理由の一つとして大企業からの圧力というものがあるように思います。
例えば、コンビニの24時間営業や食品ロスの話などもありますが、下請法もさることながら、チェーン店の裁量権のようなことも検討する余地があるように思います。
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