こんにちは。人材サービス総合研究所の水川浩之です。

すっかり冬らしい空気感になってきました。

一昨日の12月5日に第3回労働政策審議会労働政策基本部会を傍聴してきました。久しぶりに霞が関まで赴きましたが日比谷公園の紅葉はそろそろ終わりですね。

■ AI等の動向と労働への影響等

以前、このブログでAIについて書いても反応が鈍いという話を何度か書いていますが、この第3回労働政策基本部会では、「技術革新(AI等)の動向と労働への影響等」がテーマとして採り上げられました。

このテーマに至るいきさつについては、第1回、第2回の会合が開催されたときにも述べているように、簡単に言えば塩崎前厚生労働大臣の肝いりで設置された割には何をしたいのかわからない部会でした。

この第3回になってようやくこの部会の位置づけが見えたように思います。

■ 基本政策を練る場ではないのか

この日の会議では、技術革新が労働に与える影響についての先行研究について厚生労働省から概略の説明があったあと有識者からのヒヤリングが行われ、最後の約30分でそれらの感想なり意見なりが各委員から出されるという進め方がされました。

詳細についてはすでに資料が掲載されているので以下をご参照ください。

AIについては、さまざまな角度からさまざまなことが言われているので、一つにまとまった資料は、これはこれで先々の雇用を考えるうえでは参考になるものだと思います。

■ 雇用政策の方向性を決めるべき?

ここで出された各委員からは以下のような要旨が述べられています。

  • 雇用の流動化をせざるを得ない
  • これまでは日本型雇用が前提の労働政策だった
  • 労働者の定義を改める必要があるのではないか
  • 教育、職業訓練、セーフティネットについても考えなければならない
  • 方向性を決めるべき
  • これまでは過去や現在の問題への対処だったが将来の問題として考える必要がある
  • 仕事がタスク化している
  • 副業、兼業、請負、独立といったことも考える必要がある
  • 人が主体性をもってAIをどう使うか考える必要がある
  • 雇用には光と影がある。影に目配せをする必要がある
  • 人材開発、能力開発が必要である
  • 急激な変化は混乱が生じる
  • 紛争解決についても検討する必要がある
  • 税、社会保障がどう変わるのか
  • ベーシックインカムについても考えるべき

これらの発言を見る限り、そもそもの問題として方向感が決まっていないということが最も重要なポイントなのではないかという印象を受けました。

■ 方向性以前の問題

すでに職務分離は行われており、さまざまな仕事がタスク化されている中で、雇用の流動化は避けられないにも関わらず、戦後からの日本型雇用慣行を前提としていることに現在の雇用政策の問題があることは明らかであるにも関わらず、「どうしましょう?」と言っているのがこの部会の立ち位置のようです。

「方向性を決めるべき」との意見がありましたが、私はその方向性を決めるのがこの部会の意義なのかと思っていました。どうやらそうではなくそれ以前の話のようです。

これだけ技術革新が速いなかで、いつまでも「方向性を決めるべき」と言っているようでは先が思いやられます。確かに急激な変化は労働市場に混乱を来すので慎重に進める部分もあって然るべきだとは思いますが、方向性すら決まっていないことが問題なのです。

まずは方向性を決めて欲しいものです。どのように進めるかはつぎの話、走りながら考えるしかないのではないでしょうか。

次回は、12月25日15:00~18:00とのこと。方向性らしきものは見えてくるのでしょうか。

寒くなってきたので、皆さん風邪などひかれませんように。

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雇用が変わる

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