こんにちは。人材サービス総合研究所の水川浩之です。毎日暑いですね。
■ 将棋では、AIが人に勝つことは当然
つい先日、羽生善治が中学生の天才棋士、藤井聡太に敗れたと話題になったばかりですが、一昨日5月20日には、将棋の第2期電王戦二番勝負で人工知能のPONANZAが、以前羽生善治を破った佐藤天彦に勝ったというニュースがありました。
将棋よりも難しいとされる囲碁では、昨年3月にGoogleが開発したAlpha Goが世界最強と言われる韓国の棋士を破ったことで、AIへの注目が一気に高まったこともご存知のとおりです。
すでに将棋では、AIが人に勝つことは当然として受け取られているようで、この第2期をもって電王戦を終了するそうです。
その理由は「人間とコンピューターが同じルールで真剣勝負をするという歴史的役割は終わった」とのこと。
チェスに至ってははるか昔にAIに人が破れています。最近では話題にすら上りません。
■ ロボットが指す駒
日本版のAlpha Goと言われるDeepZenGoも人に勝つようになるのは時間の問題とされていることを考えると、囲碁でも「役割は終わった」という状態になるのも遠くないことなのでしょうね。
将棋のPONANZAがAlpha Goと違う点として、Alpha Goが頭脳だけを担い人が代わりに碁盤に石を置くことに対し、PONANZAはロボットが自分の手?で将棋盤に駒を指すというところです。
頭脳だけでなく、小さな駒を指すメカニカルな面も担っているというのは興味深いものがあります。
駒の大きさや文字を認識するということで言うと、ロボットが囲碁の石を打つよりも将棋の駒を指す方が難しそうな気もします。
私は囲碁も将棋もよくは知りませんが、ゲームであると捉えると、いずれもすでに行きつくところまでいっていると言えるのかもしれません。あとはアンドロイドですね。
■ ゲームはゲーム
ゲームはゲームですからコンピューターには敵わないのだからやっても仕方がないということにはならないと思います。
しかし、これがビジネスだったらどうでしょうか。
目先の生産性を考えると、コンピューターには敵わないのだからやっても仕方がないという話になるのかというと、これは違うような気もします。
例えば、AIによってパラリーガルの仕事はなくなると言われています。たしかに判例を探すという仕事はAIには敵わなくなるように思います。
しかし、最終的な判断については弁護士の仕事はなくなることはないはずです。パラリーガルとして実務経験を積んだ上で資格を取得し弁護士となる人も多いようですが、パラリーガルとしての実務経験がなくなると、弁護士として腕を振るうことができるのだろうかと思うのです。
■ 人の経験は不要なのか
AIの進展にともない、仕事が二極分化するということはよく言われることで、それ自体は何の不思議もないのですが、その中間を経験するからこそハイレベルな仕事もできるようになるという側面もあるのではないかと思います。
多くの仕事の経験を積み重ねることでプロフェッショナルになっていくという過程が必要なこともあると思いますが、人材育成についてははどう考えたらよいのでしょう。
現状の生産性だけをみてAIやロボットに職を譲るのか、ハイレベルな仕事をするための経験としてAIやロボットでもできる仕事でも敢えて人がやるのかを考えることも必要になってくるような気がします。
「熟練」「熟達」という言葉なく、プロフェッショナルにということもないのではないでしょうか。
佐藤天彦名人、人工知能に敗北決定 将棋・電王戦
朝日新聞2017年5月20日21時21分 将棋の佐藤天彦(あまひこ)名人(29)が、第2期電王戦二番勝負で人工知能のPONANZA(ポナンザ)に敗れた。2局とも完敗と言って良い内容で、将棋ソフトが将棋界の頂点に立つ名人を超えたことを印象づけた。 20日に兵庫県姫路市であった第2局は午前10時に始まり、ポナンザが厳しく攻めて徐々にリードを広げた。佐藤名人は午後7時半に敗北を告げた。 佐藤名人は「勝つのは相当厳しいと思っていた。思いつかない手を指されて、差がついた」と落ち着いた口調で話した。開発者代表の山本一成さん(31)は「コンピューターが名人に勝つのは、一昔前には考えられなかったこと。すごくうれしい」と喜んだ。 ポナンザは2013年に電王戦初出場、現役棋士からのソフト初勝利を達成。棋士の棋譜を大量に読み込んで形勢を正しく判断する力を磨き、その後も棋士相手に無敗を誇ってきた。 佐藤名人は昨年12月、予選の叡王戦で優勝し、電王戦出場を決めた。事前にポナンザの貸し出しを受け、研究に取り組んだが、ほとんど勝てなかったという。 日本将棋連盟の佐藤康光会長(47)は、記者会見で「ソフトの方が、1枚も2枚も上手だったということは認めざるをえない」と話した。 |
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