こんにちは。人材サービス総合研究所の水川浩之です。
先日6月29日のブログ「『Google for Jobs』、アメリカで提供開始」は、お約束通り皆さんの反応が鈍かったですね。
思わず、やっぱりAIネタだったせいなのか、「Google for Jobs」をアルファベットで書いたからなのか、それとも「アメリカ」のことは関係ないからなのかと思い返してしまいました。
皆さんにとって、大切なこと、役に立つことを書こうというのがこのブログのポリシーなので、仮に読む人が少なくてもそれはそれでよいのですが、そうは言っても、やっぱり読んでもらった方が嬉しいかなと…(笑)。
そんな中、雨にもマケズ、風にもマケズ、6月30日まで開催されていた東京ビッグサイトの「第1回AI・人口知能EXPO」と東京国際フォーラムの「ヒューマンキャピタル2017」に行ってきました。
■ 世の中の「AI」への関心度
昨年10月4日のブログ「『CEATEC × 人材サービス = 雇用創出』だ!」で、国内最大のIT&エレクトロニクスショー「CEATEC」のことを書きましたが、今回の「AI・人口知能EXPO」の来場者数は、比較にならないほど多く、通行さえ困難というほどでした。
テーマが違うので単純比較はできませんが、「CEATEC」のネームバリューを考えれば、「第1回」というこの「AI・人口知能EXPO」の来場者数は破格だったのではないでしょうか。
実際、このような展示会は過去に海外での出展者側の立場も含めて何度も行っていますが、これほど多くの来場者は見たことがありません。臨時の受付というのも初めて見ました。
それだけ、世の中的には「AI」への関心度が高まっているということだと思います。
■「AI・人口知能EXPO」の中身
「AI・人口知能EXPO」の中身を見てみると、画像認識、音声認識、機械学習、医療支援、営業支援のためのディープラーニング、自然言語処理など、それだけを見れば昨年の「CEATEC」と大きく変わることはないように思います。
重要なことは、このような技術が進化し、どのように応用できるかという段階にきており、現時点ではその応用が目に見えるカタチにまでは至っていないという気がしました。
20年ほど前に何でも「ファジー」と名前をつければよいというような風潮がありましたが、今回も、なんでも「AI」と名前をつければよいと感じられるものも無きにしも非ずです。
何がホンモノなのかを見極める受け手の目も必要になるのではないかと感じます。
■「AI」が雇用に与える影響
そうは言うもののやはり「AI」が雇用に与える影響は大きいと言わざるをえません。
目に映りやすいからか、音声認識と自然言語処理を応用した例としてチャットボットは、多く見かけました。
最近の音声認識技術は目を見張るものがあり、私もスマホでの検索は音声入力をする方が多くなりましたが、単純に単語だけでなく話し言葉を理解して、求められる解を返すという点で、チャットボットはコールセンターの業務を変えると思います。
今回の「AI・人口知能EXPO」では人材サービス系の事業者さんの出展はほとんどなく、唯一、出展していたKDDIエボルバさんもチャットボットがメインでした。
コールセンターのアウトソーシングを受注することが多いエボルバさんが、人員を削減するツールを売り物にするというのは、契約ブース数が減ることにつながるのですが、本来のユーザー視点にたったものなのではないかと思いました。
私自身は、人材サービス事業者内のビジネスプロセス改革として人材マッチングが気になっているのですが、現時点でアナウンスされているモノはほとんどが求職者の経歴や希望からマッチングすることに留まっており、従来からの条件検索の域を脱していないのかもしれません。今回は残念ながら情報を得ることはできませんでした。
■ VR(ヴァーチャルリアリティ)を初体験
「AI・人口知能EXPO」と同時開催されていた「コンテンツ東京2017」に以前の取引先が出展していたので、そちらも覗いてみたのですが、そこで初めてVRを体験しました。
すでにゲームで使っている人もいらっしゃると思いますが、これはすごいですね。
私が乗ったのは…いや、私がつけたヘッドセットでは、高級車に乗ることを再現するものだったのですが、シートやハンドル、窓の外などヴァーチャルだと分かっていても、思わず身体が動いてしまったり、背もたれによりかかりそうになったりと、CGの世界のことなのですがあまりにもよくできていて驚きました。
雇用という観点では、カーディーラーの仕事が変わるだろうし、教習所のあり方も変わるのではないかと思いました。そもそも自動運転が可能になると教習所の需要も激減するかもしれませんが…。
これがアパレルであれば試着せずに試着?できます。お店にいかずに家でも試着ができるとしたら、販売のカタチは変わりますね。
「AI・人口知能EXPO」よりもVRの方がリアリティがあっておもしろかったかもしれません(笑)。
■「ヒューマンキャピタル2017」でもAI
この日は、お台場の「AI・人口知能EXPO」から有楽町の「ヒューマンキャピタル2017」にハシゴ。さすがに展示会のハシゴは疲れました。
「ヒューマンキャピタル」はそれほど混雑しておらず、規模も小さいのですが、その中で最も人を集めていたのがIBMのワトソンでした。
ワトソンは「AI」の代名詞的な扱いもされていますが、「AI」を何にどのように使うのかを考えるのが重要ではないかと思います。
他の出展は、採用、教育、特にEラーニングなどが多く、「AI・人口知能EXPO」ほど目当たららしいものはないという感じでしょうか。
逆にその変化のないことが業界のリスクでもあるように感じます。
何人か知人にも会いましたが、「ヒューマンキャピタル」は平和です(笑)。
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