北日本には例年よりも5度も低い強い寒気が流れこみ冷え込むそうです。北海道、東北、北陸では大雪になるそうです。空気も乾燥しているのでくれぐれもお気をつけください。
■ いたるところに潜んでいるリスク
一昨日のフジテレビ系列のTVドラマ「大貧乏」、ご覧になりましたか? 人材派遣会社の廃業から話が展開されるというので、録画をして見てみました。
人材派遣会社に勤めていたシングルマザーの主人公、七草ゆず子(小雪)が、理不尽な社会に向かって奮闘するストーリーらしいですが、その第一話がいきなり廃業という話。
あまり気分の良いものではないですね。
倒産の理由が、派遣スタッフのミスで派遣先の機密情報が漏えい。250億円の賠償金支払いで資金繰り悪化というもの。
250億円に相当する機密に派遣スタッフを近づけるかどうかということは置いておいても、無いとは言えない話ですね。フィクションのドラマのこととはいえ考えさせられます。
■ リスクマネジメントは「安定的に成長をするための条件」
「利益を生むリスクマネジメント」として、リスクマネジメントは企業が「安定的に成長をするための条件」であるということを書いたのですが、残念ながらこれまでで最も人気のないエントリーでした(-.-;;
内容を見なおしてみると、「情報漏えい」「顧客への損害賠償」とちゃんと書いてあるじゃないですか!
仮にこのドラマの人材派遣会社「ディメンション・オブ・ヒューマニティ(DOH)」が、この時にきちんとこのようなリスクを洗い出していたらどうだったでしょうか。
それなりに対策を打っていれば廃業に追い込まれることはなかった、あるいは、多少なりともリスクを低減できていたはずです。
リスクマネジメントは「安定的に成長をするための条件」なのです。
どんなに日ごろ、売上をあげる努力をしていたとしても、ひとたび嵐が吹けば経営が窮地に立たされるのです。
■ クリティカルシンキングを身につける
クリティカルシンキングとは、あらゆる物事の問題を特定して適切に分析することによって最適解に辿り着くための思考方法、とされています。
日本語では批判的思考と言われますが、「Critical」を単純に「批判的」と訳してしまうとおかしな話になってしまいます。
多くの場合は、自身の論理構成や内容について内省することを意味するそうです。
そう「内省」することが重要ということですね。まさにインサイドアウト。
簡単に言えば「これって大丈夫?」と自ら問い続けることです。
感覚的には、営業的な思考が強い人は、クリティカルシンキングはあまり得意ではないことが多く、管理系の仕事をする人の方がこの視点でものごとを見る傾向が強いように感じます。
役割としてどうしてもそうなるのでしょうけど、重要なことはお互いの立場を尊重することですね。
ポイントとしては、以下のようなことを挙げられると思います。
- 視点を分解し多くの意見を吸い上げる
- 多数派の意見が正しいとは限らない
- 多面的に考え議論する
- 感情的な推論を避ける
- 最初に思いついた答えに固執しない
■ 性悪説で考えることも必要
さて、ドラマではまだこれから話が展開されることになると思いますが、どうやらこの人材派遣会社の廃業の本当の理由は他にありそうな気配です。
それは従業員の不正、あるいは役員や管理職の不正です。
拙ブログ「利益を生むリスクマネジメント」で挙げた考えられるリスクの中には入れていませんでしたが、経営上は十分あり得る話ですね。
例えば、従業員の不正がリスクとして考えられるとします。
そうだとすると、継続的な従業員教育、決裁権限の規定、ダブルチェックなどのしくみ、セキュリティ対策、内部通報制度、監査システムの構築のようなことが必要ということになるのでしょう。
役員や管理職の不正も当然考えるべきです。多くの企業の不祥事は役員によるものも多いですから。
大きくはコーポレートガバナンスということになるのでしょう。監査役の権限の規定や会計制度などの内部統制が必要になります。
いずれも、これらのリスク対策は、しくみを創らなければなりません。もう一つ重要なことは、しくみを創ったあと、それが実際に機能するようにすることです。
とにかく考えられるリスクはすべて洗い出したうえで、それを適切に評価し、相応の対策を事前に打つこと、未然にリスクを防止し、安定的な成長につなげることが重要です。
リスクマネジメントの無い企業の「成長」は「膨張」です。
■ 冷え込みそうだから気をつけましょう
ここで問題です。冒頭に私は「冷え込みそうだから気をつけましょう」ということを申し上げました。
皆さんは何に気をつければよいと思われましたか?
一般的には、「寒いのやだなぁ」「風邪をひかないようにしなきゃ」「暖かい服を着ていかなくちゃ」ということでしょうか。
そこで終わったらクリティカルシンキングになりません。もう一度冒頭の文章を書きますよ。
「北日本には例年よりも5度も低い強い寒気が流れこみ冷え込むそうです。北海道、東北、北陸では大雪になるそうです。空気も乾燥しているのでくれぐれもお気をつけください。」
いかがですか?
- 派遣スタッフの体調は大丈夫だろうか
- 雪で通勤できなかったらどうしよう
- 職場から帰れなくなったらどうしよう
- 契約に穴をあけたらどうしよう
- 空気が乾燥しているからお肌を気にしなきゃ
- 火事に気をつけることの方が重要でしょう
- 雪で滑ってケガをしたらどうしよう
- 車の事故に気をつけなければ
- タイヤのチェーンをもっていかなければ
- 水道管が破裂したらどうしよう
- 吹雪で飛行機が飛ばないかもしれない
立場や場所、視点によってまだまだたくさんリスクは考えられるのではないでしょうか。
もちろん、心配し過ぎると何もできなくなってしまいます。それぞれの発生頻度や起きた場合の影響の程度、対処方法の検討、あるいは何も対策をしないという判断が必要です。
これらを事前に行うということが大切なのです。
この「大貧乏」、初回の視聴率は7.7%と振るわなかったそうです。タイトルが悪すぎますよね。
ストーリーが面白いか、キャスティングがどうかということはさておき、改めてリスクマネジメントについて真剣に考えてみるというきっかけとして見るのはよいのかもしれません。
ちなみに、この第一回、我が家の娘も出ていたそうです。主人公に憧れをもつ柿原新一役の伊藤淳史さんが初詣にいっておみくじを引く場面の後ろに映っているはずだったとか。
昨日一度見ただけで録画を消してしまったら怒られてしまいました。そりゃセリフもないんだから気がつきませんよね(笑)。
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