こんにちは。人材サービス総合研究所の水川浩之です。
カラッとした天気ですが、そろそろ梅雨に入りそうですね。
■ 子育て・介護等と仕事の両立、障がい者の就労
今日は働き方改革実行計画から「子育て・介護等と仕事の両立、障がい者の就労」について採り上げたいと思います。
タイトルどおり、対象となるのは子育て世代、介護世代と障がいのある方です。
数日前、厚生労働省の人口動態統計で昨年2016年に生まれた赤ちゃんが約98万人、現在の統計を取り始めた1899年以降、初めて100万人を下回ったと話題になりました。1899年というと118年前、明治32年です。ちなみに出生数の最も多かったのは1949年の約270万人の団塊の世代ですから、3分の1ぐらいまで減少しているということになります。
死亡数は戦後最多の約131万人で自然減は34万人で過去最大。2005年に戦後初めて死亡数が出生数を上回り、2007年以降は10年連続で自然減の幅が拡大し、人口減少が目に見える数字となっています。
団塊の世代はほとんど労働市場から退出していると考えると、人材不足が顕在化していることは頷けるものがあります。
■ 働き方改革は経済対策
現在、アベノミクスで進められている働き方改革は、経済対策を意図しており、減少した労働力をどのように補うのかの文脈で語られています。
つまり、子育てや介護に携わる人も、障がいのある人も皆で働いて税金や社会保険料を納め、消費をしてくださいと言われていることになります。
よく言われるのが、子育てはある程度時間が読める一方、介護についてはいつどこでやってきて、いつまで続くかわからないという側面があります。
そうは言うものの、子育てにしても介護にしても、働くことと両立をすることが国から求められているということですね。
■ 求められる働き方の多様性
最新の将来推計人口では今後出生率が1.42~1.44で推移すると見通されており、人口は2053年には1億人を割ると推計されています。
善い悪いは別として、「男は仕事、女は家庭」といわれていた時代と比較すると、女性が外で働く機会が増え、女性の晩婚化も進み、結果として出生率も下がっていることを考えると、以前の方が少子高齢化にはなりづらかったのかと考えられなくもありませんが、どうなんでしょうね。
男女ともに外で働くことが求められるということは、当然、女性の働き方だけでなく、男性の働き方も変わることが求められるということになりますが、そのためには働き方の多様性が求められるということになります。
■ 改正育児・介護休業法
改正育児・介護休業法は、すでに本年1月1日に施行されていますが、骨子は以下の8点です。
- 介護休業の分割取得
- 介護休暇の取得単位の柔軟化
- 介護のための所定労働時間の短縮措置等
- 介護のための所定外労働の制限(残業の免除)
- 有期契約労働者の育児休業の取得要件の緩和
- 子の看護休暇の取得単位の柔軟化
- 育児休業等の対象となる子の範囲
- いわゆるマタハラ・パタハラなどの防止措置義務の新設
■ 人材サービスの役割
これらの内容で直ちに人材派遣サービスにできることは多くはないように思いますが、一時的、臨時的な雇用という観点で言えば、育児休業、介護休業時の代替要員としては、これまで以上にニーズが高まるのではないでしょうか。
これらの代替ということで言うならば、30日以内の短期派遣に該当するケースも多くあると思いますが、日雇派遣の原則禁止で禁じられているので、せっかく育児・介護休業法で緩和されても使用者、労働者ともに使いづらい制度のようにな気がします。
育児、介護で柔軟になった分の仕事の行き場がなくなるということも併せて考えた方がよいように思いますが…。
8.子育て・介護等と仕事の両立、障害者の就労
(1)子育て・介護と仕事の両立支援策の充実・活用促進 「待機児童解消加速化プラン」に基づき、これまで、2013年度から2015年度までの3年間で合計約31.4万人分の受け入れ枠拡大を実現し、2017年度末までの目標を40万から50万人に上積みした。 潜在的な保育ニーズも幅広く把握し、2017年度末までには、企業主導型保育事業約5万人分とあわせて、当初目標を上回る53万人分の整備を進める。 2018年度以降についても、本年4月以降の各自治体における今後の改善状況等も踏まえ、新たなプランを策定する。 また、受け皿の拡大にあわせて、保育士資格の新規取得者の確保を図るほか、処遇改善や就業継続支援、離職者の再就職支援といった総合的な人材確保対策を講じる必要がある。 保育士の処遇改善については、技能・経験に応じたキャリアアップの仕組みを構築し、処遇改善に取り組む。 2017年度予算では、全ての保育士に2%の処遇改善を実施する。 これにより、政権交代後、合計で10%の改善が実現する。 加えて、保育士の方々には、概ね3年以上で月5千円、7年以上で月4万円の加算を行う。 また、保育園等において、病児保育、延長保育や一時預かり、障害児支援などの多様な保育を提供できるよう、今後さらに、これらの受け皿の拡大やニーズに応じた柔軟な利用を進めていく。 保育サービス以外にも、育児や家事の負担を軽減し、仕事と両立しやすい社会を実現するための方策も検討する。 また、子供を産んでも仕事を続けられるための支援を強化していく観点から、子育てを理由に仕事を辞めずに済むよう、保育園が見つからない場合などは、育休給付の支給期間を最大2歳まで延長する。 あわせて、「小1の壁」打破に向けて、放課後児童クラブの受け皿整備とともに、処遇改善等を進める。 介護についても、介護支援の充実を図り、介護をしながら仕事を続けることができる「介護離職ゼロ」に向け、現役世代の安心を確保することが重要であり、総合的に取組を進めて行く。 介護の受け皿については、2020年代初頭までに、50万人分以上の整備を確実に推進する。 また、介護人材を確保するため、2017年度予算において、介護職員について、経験などに応じて昇給する仕組みを創り、月額平均1万円相当の処遇改善を行う。 これにより、自公政権のもと、合計で月4万7千円の改善が実現する。 (男性の育児・介護等への参加促進) 女性の就業が進む中で、依然として育児・介護の負担が女性に偏っている現状や男性が希望しても実際には育児休業の取得等が進まない実態を踏まえ、男性の育児参加を徹底的に促進するためあらゆる政策を動員する。 このため、育児休業の取得時期・期間や取得しづらい職場の雰囲気の改善など、ニーズを踏まえた育児休業制度の在り方について、総合的な見直しの検討に直ちに着手し、実行していく。 また、制度があっても実際には育児休業等を取得しづらい雰囲気を変えるため、育児休業の対象者に対して事業主が個別に取得を勧奨する仕組みや、育児目的休暇の仕組みを育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)に導入する。 併せて、部下や同僚の育児・介護等に配慮・理解のある上司(イクボス)を増やすため、ロール・モデル集の作成やイクボス宣言を広める。 さらに、次世代育成支援対策推進法に基づく子育てしやすい企業の認定制度(くるみん認定)について、男性の育児休業取得に関する認定基準を直ちに引き上げる。 また、2017年度に同法(一般事業主行動計画)により個別企業における男性の育休取得状況を見える化することを検討し、同法の改正後5年に当たる2020年度までに、更なる男性育休取得促進方策を検討する。 (2)障害者等の希望や能力を活かした就労支援の推進 障害者等に対する就労支援を推進するにあたっては、時間、空間の制約を乗り越えて、障害者の意欲や能力に応じた仕事を提供するなど、障害者等が希望や能力、適性を十分に活かし、障害の特性等に応じて活躍できることが普通の社会、障害者と共に働くことが当たり前の社会を目指していく必要がある。 近年、障害者の雇用環境は改善してきているが、依然として雇用義務のある企業の約3割が障害者雇用ゼロとなっているほか、経営トップを含む社内理解や作業内容の改善等にも課題が残されている。 また、就労に向けた関係行政機関等の更なる連携も求められている状況にある。 このため、2018年4月より法定雇用率を引き上げるとともに、障害者雇用ゼロ企業が障害者の受入れを進めるため、実習での受入れ支援や、障害者雇用に関するノウハウを付与する研修の受講を進めるほか、障害者雇用に知見のある企業OB等の紹介・派遣を行う。 また、発達障害やその可能性のある方も含め、障害の特性に応じて一貫した修学・就労支援を行えるよう、教育委員会・大学、福祉・保健・医療・労働等関係行政機関と企業が連携する体制を構築する。 さらに、障害者の在宅就業等を促進するため、在宅就業障害者に仕事を発注した企業に特例調整金等を支給する制度の活用促進を図るとともに、ICTの活用を進め、仲介事業のモデル構築や、優良な仲介事業の見える化を支援する。 加えて、障害者の職業生活の改善を図るための最新技術を活用した補装具の普及を図るとともに、農業に取り組む障害者就労施設に対する6次産業化支援など、農福連携による障害者の就労支援について、全都道府県での実施を目指す。 今後、多様な障害特性に対応した障害者雇用の促進、職場定着支援を進めるため、有識者による会議の場を設置し、障害者雇用に係る制度の在り方について幅広く検討を行う。 |
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